ペインクリニック2007;27(12) 痛みの中枢機構

乾幸二 ヒト侵害受容系の電機生理的検索 ペインクリニック 2006;27(12):1505-1517

  • 脳波や脳磁図は脳深部の活動に記録には不向き
  • 痛みは特有の体験であり、視覚や聴覚などの他の感覚系、あるいは体性感覚の中でも、触覚や圧覚にはない特殊な脳活動が生じていると考えられる。が実際には侵害受容系特異的な活動は脳波や脳磁図ではほとんどなにも検出されていない
  • 痛みの弁別
    • 部位弁別にはS1が関与、強度判別もS1
    • より強い侵害刺激はよりつよい全部帯状回の活動を生じるー強い刺激ほど認知あるいは情動に関わる神経活動が増したことを意味するだけかもしれない
    • 侵害刺激の質の判別部位はわかっていない
  • 注意ー認知側面
    • 脳波や脳磁図できろくされる侵害受容誘発反応は、被験者の注意や覚醒状態に顕著に影響を受ける
    • 帯状回は侵害受容系の情動的側面に深く関わると考えられてきた。しかし帯状回は解剖学的にも機能的にも不均一で、認知、情動、記憶、空間認知などさまざまな高次機能と関係している。
  • 情動ー動機づけ側面
    • 前部帯状回が痛覚の情動的側面に関与
    • 侵害受容系の一部(島、帯状回)が痛覚の感情移入に関与する
    • 一般に島の前部が情動、痛みの予期あるいは感情移入に関わると考えられている
    • 島が自己に生じた変化の吟味や意味付けをし、その情報を受けた前部帯状回で適切な情動変化およびそれに基づく行動へのドライブが生じるのではないかと考えられる