Patrick Wall 疼痛学序説 南江堂 2001 

疼痛学序説―痛みの意味を考える

疼痛学序説―痛みの意味を考える

  • 第7章 原因が特定されていない痛み
    • 腰痛
      • 腰椎椎間板ヘルニアの手術の割合は下がり続けていて、神話がばらまかれて、少数のひとの利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった。
      • 腰痛の原因を納得できる形で示したものはない
      • 原因の一つに損傷を加えるのは自然であろうが、腰痛患者の大多数に損傷の証拠はない。飛行機製造会社ボーイングのような会社の大掛かりな調査で、腰痛を訴える人の割合は、事務職労働者と重い物を持ち上げる工場労働者で同じであることが繰り返し示された。したがって、激しい、あるいは並はずれた運動が腰痛を来すという証拠はない
      • 痛みが続くのに、組織損傷が検出されずに見捨てられた患者は重大な困難に陥る。
      • かなりの数の人々が、「働かずに贅沢に暮らすために社会保障費から計画手に金を盗む詐欺師と、それを操る人々の大集団が、彼らの社会の大問題である」とみなしている。患者はこのような社会からのけものにされる
      • 痛みをもつ人々は、痛みになかなか対処できない
      • 痛みは彼らの世界を独占する。怒り、恐怖、拒絶、孤独は明らかに事態を悪化させる。
      • 痛みを持つ残りの人々に対して、今日できるのは、慰め、支援、承認、援助である。