横田敏勝 慢性疼痛の機序 ペインクリニック 2007;28:S3-8

  • 慢性痛は生理学的な意義を持たず、無益である
  • 末梢神経のAβ線維の伝達物質はグルタミン
  • 多くの慢性痛で、触刺激によるAβ線維の興奮が痛みをもたらすアロディニアが見られるが、これは脊髄後角侵害受容ニューロン、特に広作動域ニューロンの反応性亢進によるものである
  • 末梢からC線維のインパルスが送り込まれて、脊髄後角の二次ニューロンの反応性が高まっていることが、アロディニアの前提になっている
  • WDRニューロンの反応性が高まって、触刺激に対する反応が以上に高まるとアロディニアが起こる

井内浩、弓削孟文 Complex regional pain syndrome (CRPS) ペインクリニック 2007;28:S16-25

  • IASPは、慢性疼痛症候群における交感神経の関与の程度やジストロフィー変化が症例ごとに異なる現実をふまえ、交感神経、およびジストロフィーといった言葉を疾患名から取り除く決断をした。
  • 外傷等の後に、罹患部位より通常は末梢側に局所的に生じ、その障害事象の程度に不釣り合いに強く、長期にわたり持続し、時に重度の運動障害を伴う疼痛症候群に対し、complex regional pain syndrome (CRPS)の呼称を新たにもうけた。
  • いまだに保険病名は反射性交感性ジストロフィーまたはカウサルギー
  • 1994 IASPの診断基準は感度が高いが、特異性が極めて低い。2005米国で新しい診断基準
  • 2006 抗てんかん薬ガバペンチン(ガバペン)

森脇克之 痛みと交感神経遮断法 ペインクリニック 2007;28:S29-38

  • CIPA congenital insensitivity to pain with anhidrosis 先天性無痛無汗症
    • AR,神経成長因子(NGF)チロシンキナーゼ受容体receptor tyrosine kinase for NGF;TRKA)の遺伝子異常が原因
    • 一つの遺伝子異常によって、痛覚の異常と交感神経の異常が生じるということは、発生学的侵害受容と交感神経系が、非常に密接な関係にあることを物語っている
  • 交感神経が、障害を受けた神経にその枝を伸ばす現象は、発芽sproutingとよばれ、交感神経依存性の自発性疼痛の発生機序の一つと考えられている。
  • 1943 Livingstonの仮説
    • 交感神経過緊張ー血管収縮による悪循環説
  • 1986 Roberts 交感神経依存性疼痛
    • 皮膚に外傷が加わると、侵害刺激(C線維の興奮)によって脊髄後角の広作動域ニューロンの過敏状態が惹起される(WDRニューロンの感作)。次にWDRの感作状態が続くと、Aβ神経繊維が伝達する皮膚の触覚などの刺激に反応してWDRニューロンが刺激され興奮するようになる(アロディニアの成立)
  • 上二つは否定
  • RSDの痛みには交感神経依存性でない痛みがあること、RSD患者が必ずしもジストロフィーをきたすとは限らないことから、IASPは1994年にRSDの用語の使用をやめ、CRPSという用語に変更した。

柴田政彦、井上隆弥、真下節 診断に役立つテスト ペインクリニック 2007;28:S59-65

  • いろいろな心理テスト
    • MMPI,CMI 患者と採点者の負担が大きい、IBQ 質問項目が日本人には不適当 MPI,Y-G ペインクリニックにおいては臨床的有用性が低い
  • つかっているテスト
    • HAD hospital anxiety and depression scale
    • PDAS pain disability assessment scale
    • 近年活動レベルの指標でSF-36が注目されている