本田哲三:疼痛性疾患の診断と治療 精神科 2004;4(2):101-108

  • 疼痛理論の変遷
    • 1664 デカルト Rene Deartes
      • 疼痛は感覚的経験の一つであり、その程度は概ね組織損傷の程度に一致する
    • 1959 Engel
      • 器質的原因に乏しい痛みの訴えを心因性疼痛と名付けた
    • 1965 Melzack & Wall
      • Gate Control Theory
      • 疼痛体験は単に末梢から中枢への一方方向の感覚ではなく、中枢からの関与(感情や認知の要素)や脊髄後角での神経線維間の活動量の競合の結果である点を強調
    • 1973 Fordyce
      • 慢性疼痛患者の疼痛行動に注目。強化子がある
    • 1958 Fahrni
      • 腰痛が体操と身のこなし方の教育でコントロール可能
    • 1982 Loeser
      • 疼痛体験は4相からなる nociception(侵害刺激), pain(疼痛感覚), suffering(苦悩), pain behavior (疼痛行動
      • 苦悩は疼痛感覚によって引き起こされる中枢での陰性の情緒的反応を指す
    • 1999 Melzack
  • IASP(international association on study of pain 1986)による痛みの定義
    • 実際のおよび潜在的な組織損傷に関係、あるいはそのような損傷に関連して述べられるような不快な知覚および情緒的な体験
  • 3週間の短期集中プログラム
    • 認知行動療法の原則に基づき、身体心理的な訓練や講義により身体活動性を増加させることとともに、それを通じて痛みから何もできないという患者の否定的な認知(思い込み)を痛いけれどもやるべきことはやれるし、生活を楽しめるといった建設的な態度に変える
    • プログラム施行上の留意点
      • 安易に心因性疼痛ときめつけない
      • 痛み障害的に対応する
  • 痛みを人生の一部としてうけいれ、痛みとともに生き、そして、痛みにもかかわらず充実した人生を楽しむといった痛みの受容へとむかっていく