内受容感覚と感情をつなぐ心理・神経メカニズム

寺澤悠里、梅田聡 内受容感覚と感情をつなぐ心理・神経メカニズム 心理学評論 2014;57(1):49-66 James (1884) 感情とは”身体的変化から興奮している事実を感じ取ること”であると定義し、”速い心拍、深い呼吸、唇のふるえ、l鳥肌、内臓の動きといった身体的…

情動を生み出す「脳・心・身体」のダイナミクス:脳画像研究と神経心理学研究からの統合理解

梅田聡 情動を生み出す「脳・心・身体」のダイナミクス:脳画像研究と神経心理学研究からの統合理解 高次脳機能研究 2016;36(2):265-270 情動とは、本来、生体が生き延びるために、敵と闘ったり、敵あkら逃げたりすることによって危険を回避するうえで生じる…

脳画像研究で検証する中枢神経感作病態

関口敦 脳画像研究で検証する中枢神経感作病態 心身医 2021;61:165-171 心身症患者では、体性感覚や内受容感覚など末梢からの刺激に対する中枢系の過剰反応が中枢神経感作病態として評価されていると考えられる 近年、ストレス関連疾患の身体症状の認知科学…

慢性疼痛患者へのマインドフルネスアプローチの事例

山本和美、中居吉英 慢性疼痛患者へのマインドフルネスアプローチの事例 ー内受容感覚の視点を交えて 心身医 2021;61:147-152 内受容感覚は、身体内部の生理状態の感覚を指す概念であり(Craig 2002)、内受容感覚の感度の程度や知覚の認知の仕方は、心身の健…

内受容感覚に基づく行動の制御

大平英樹 内受容感覚に基づく行動の制御 BRAIN and NERVE 2017;69(4):383-395 痛み信号は脊髄を上向し、視床を経由して一次体性感覚野に到達し、二次性体性感覚野と島皮質に向かう また視床から直接、帯状皮質、扁桃体、そして島皮質に向かう経路もある 前者…

マインドフルネスと内受容感覚

山本和美 マインドフルネスと内受容感覚 身の医療 2017;3:18-24 マインドフルネス瞑想の練習を積み重ねていくにつれ、自己の内外の事象の関係性において生じるストレス反応などの身体感覚や思考、感情への気付きが高まり、それまで”自動操縦状態”で反応して…

内受容感覚の概要と研究

庄子雅保 内受容感覚の概要と研究 身の医療 2017;3:13-17 身体反応や身体感覚、特に身体内部の感覚は内受容感覚と呼ばれる 内受容感覚はイギリスのシェリントンによって生み出された言葉 3つの感覚 外受容感覚 触覚、聴覚、視覚などを介して外部環境を捉え…

身体を通して感情を知る 内受容感覚からの感情・臨床心理学

福島宏器 身体を通して感情を知る 内受容感覚からの感情・臨床心理学 心理学評論 2018;61(3):301-317 内受容感覚 一般には内臓感覚と呼ぶ 身体の内部世界の状況(生理状態)をモニターするもの 無意識な処理 この感覚の脳内処理が、身体からの極めて多様かつ…

器質的異常の伴わない神経疾患様の症状への対応

安田貴昭、畠田順一、吉益春夫 器質的異常の伴わない神経疾患様の症状への対応 BRAIN and NERVE 2018;70(9):971-979 身体的に説明できない症状を訴える患者そ診断し、治療とマネジメントを行うための診断カテゴリ 古典的 ヒステリー、ヒポコンドリー DSM 身…

身体症状症および関連症候群 ー身体症状症を中心に

大江美佐里 身体症状症および関連症候群 ー身体症状症を中心に 臨床精神医学 2014;43(増刊号) 134-138 身体症状症の登場にあたって、American Psychiatric Associationのfact sheet メンタルヘルスと身体的健康との間の複雑な接点をよりよく反映する分類とな…

身体症状症

吉原一文、須藤信行 身体症状症 日本内科学会雑誌 2018;107(8):1558-1565 身体症状症とは、「身体症状に関連した過度な思考、感情または行動に関連があり、その苦痛を伴う身体症状が長期に持続する疾患」である 身体症状性は、身体症状に対する反応としての…

痛みの不快感を緩和させる脳へのアプローチ

平林万紀彦 痛みの不快感を緩和させる脳へのアプローチ 脊髄外科 2016;30(3):293-295 痛みは、知覚的、感情的、また認知的に脳で統合され、それらは相互に作用し、われわれは痛みを常に内的に体験する 慢性痛に苦悩する患者は、痛み近くの増強だけでなく、痛…

身体症状症および関連症候群の認知行動療法

村松公美子 身体症状症および関連症候群の認知行動療法 心身医 2019;59(6):544−553 DSM-5における身体症状症 身体症状の原因を強調することは抑え、症状の結果を重視する 身体医学的に説明ができないことが、過度に強調されると、おそらく、患者自身の身体症…

10.F4:身体表現性障害の評価法

是枝明宏、中川敦夫 10.F4:身体表現性障害の評価法 臨床精神医学 2015;44増刊号;436-444 DSM-5 身体症状症の診断に際し、身体症状に対する過剰な考えや感情・行動があることを診断基準とした。一方で症状を身体医学的な説明ができるかどうかは問われず、むし…

ALSおよびsplit handについて

ALSおよびsplit handについて #1より 上肢発症型 4割 橈側優位の指の筋力低下 短母指外転筋(正中神経傷害でもある)の感覚障害を伴わない傷害に第ー背側骨間筋(示指の外転)傷害をともなう場合はALSの可能性疑う 第一背側骨間筋、小指外転筋 C8,尺骨神経…

心の問題に関連する痛みの対処法

山崎知克 心の問題に関連する痛みの対処法 チャイルドヘルス 2015;18(8):594-597 総論的になりますが、身体症状症による痛みの対応方法としては症状の背景につらさや悩みがあること、つまり心身相関の存在を念頭におきます。そして可能であれば子どもの気持…

高齢期のいわゆる心因性疾患とその対応;各課での対応 精神科医の立場から

新里和弘 高齢期のいわゆる心因性疾患とその対応;各課での対応 精神科医の立場から 老年精神医学雑誌 2016;27(10):1092-1097 人は晩年になると「自らの道の果てに死を見る」(ボーヴォワール)。野心や情念は薄れるが、経済的自立がなされ健康が維持されて…

身体表現性障害(身体症状症および関連症候群)

左貫一成、山本晴義 身体表現性障害(身体症状症および関連症候群) 臨床と研究 2016;93(5):626-632 DSM-III 身体表現性障害 somatofrom disorder DSM-V 身体症状症および関連症候群 somatic symptom disorder and related disorders 身体症状性は、従来のDS…

高齢者の心因 神経症から身体症状症(DSM-5)へ

木村宏之 高齢者の心因 神経症から身体症状症(DSM-5)へ 老年精神医学雑誌 2016;27(10):1037-1045 医療者が説明する「心因」は具体的に想定されたり、対策が講じられたりすることは少なく、「よくわからない患者」というレッテル貼りにつながりかねない 歴史…

身体症状症の対人関係療法における心理教育

近藤真前 身体症状症の対人関係療法における心理教育 心身医 2016;56:1187-1191 対人関係療法 IPT IPTは精神疾患の発症・維持には遺伝的・環境的要因などの他因子が関連するとの立場をとるが、そのうち対人関係に注目する 特に配偶者や親、恋人といった重要…

疼痛に対するリエゾンサービス

木村元紀、小林未果、松島英介 疼痛に対するリエゾンサービス 臨床精神医学 2017;46(19)43-47 疼痛性障害 身体に異常があるということにとらわれるために、身体科をはじめに受診し、疼痛の原因検索を求める。しかし、検査ではほとんど異常がみつからず、対症…

身体表現性障害における洞察 ー疾患モデルからの解釈

稲村圭亮 身体表現性障害における洞察 ー疾患モデルからの解釈 臨床精神医学 2017;46(12):1533-1538 転換症状(ヒステリー) 不定愁訴の背景には、さまざまな心理機制が働くとされており、たとえば、疾病利得的な色彩が強く、失立・失歩などの随意運動障害を…

身体表現性障害(身体症状症)におけるこだわり

松永寿人 身体表現性障害(身体症状症)におけるこだわり 臨床精神医学 2017;46(8):1001-1007 DSMーIVまでの身体表現性障害カテゴリーは、身体に関する症状が主訴となるものを漠然とまとめたものとなっており、この妥当性を疑問視する意見も少なくなかった D…

DSM-5からみる身体症状症

和田良久 DSM-5からみる身体症状症 精神科臨床 Legato 2017;3(3):146-149 身体症状症 従来の身体化障害、鑑別不能の身体表現性障害、疼痛性障害、心気症の一部を含んだ診断 身体症状の存在、身体症状に伴う過度な思考・感情・行動、6ヶ月以上の持続 診断に…

身体表現性障害(身体症状症)

仙波純一 身体表現性障害(身体症状症) 薬局 2018;69(9):2849-2853 身体表現性障害とは、身体のさまざまな不調を訴え、医療者が異常はないと説明しても納得せず症状を訴え続ける人たちをいう 身体表現性障害おn治療では、身体と精神の両面からアプローチが…

高齢者の身体症状症

木村宏之 高齢者の身体症状症 日本臨床 2018;76(suppl 7):89-93 診断 A 中心的な概念 1つまたはそれ以上の、苦痛を伴う、または日常生活に意味のある混乱を引き起こす身体症状 B 疾患の特徴 身体症状、またはそれに伴う健康への懸念に関連した過度な思考、…

身体症状症患者を理解する

鋪野紀好、生坂政臣 第3回身体症状症患者を理解する レジデントノート 2018;19(18):3236-3244 患者は、”病者”としての社会的責務から免除されますが、その条件となる病院への通院を続けた結果として医師への依存性が強まり、自ら治ろうとする努力を破棄して…

高齢者の身体症状症とその鑑別

新里和弘 高齢者の身体症状症とその鑑別 Geriat Med 2019;57(3):223-226 身体に不調が生じた際に、「もう年だから(仕方ない)」と受け入れることができる高齢者と、頑なに不調を訴え続ける高齢者がある。後者は度が過ぎると精神科の病名がつくことになる。従…

心療内科における身体症状の位置づけ

水野泰行 心療内科における身体症状の位置づけ 心身医 2019;59:539-543 患者は多次元のコミュニケーションを取ることが多く、表面的な要望だけでなく深層のニーズにも応えなけれが治療関係の構築は困難である。医師には過剰な訴えや要求をする患者に陰性感情…

老年期の身体症状症および関連症候群の臨床

稲村圭亮 老年期の身体症状症および関連症候群の臨床 老年精神医学雑誌 2019;30(4):386-392 神経症という言葉は、操作的診断基準であるDSM-IIIの登場に伴い削除され、これらの疾患群は身体表現性障害として分類されるようになった DSM-5(2013)nおいては、そ…