2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

マインドフルネススキルを身につける 1

土屋政雄氏の連載より 第1回 マインドフルネスって何? マインドフルネスを一言で言い表すと、「今」という瞬間に対する気付きのこと 現在の時間の流れと思考内容の時間の不一致に自覚的になるおとができれば、自分の思考と距離をとって向き合うことが可能…

心理社会的背景の関与が疑われる痛み

松岡弘道: 心理社会的背景の関与が疑われる痛み. 月刊薬事, 60:838-844. 慢性疼痛患者の多くは、医療者に理解されていないと感じているため医療者への訴え方が執拗になりうる 慢性疼痛診療では患者の要求(痛みをゼロにするなど)を満たすことが不可能な場合…

fMRIにおける急性疼痛関連脳活動の特徴.

倉田二郎:fMRIにおける急性疼痛関連脳活動の特徴. 麻酔, 53:S162-S167,2004 fMRI 0.2秒から数秒の高い時間解像度、1.5-3mm程度の細かいvoxel sizeが可能にする高い空間解像度 活性化した脳神経細胞の周囲には、より酸素飽和度の高い血液が出現し、したがって…

痛みのトップダウン機構. 脳機能画像:研究から臨床、痛みから意識へ.

大城宣哲、溝渕知司:痛みのトップダウン機構. 脳機能画像:研究から臨床、痛みから意識へ. LiSA, 19:478-483,2012. 痛みには視覚に対する視覚野のような特異的な領域はみつかっておらず、多くの領域(視床、体性感覚野、島、前帯状回、前頭前野など)が同時に…

機能的脳画像診断機器

倉田二郎:機能的脳画像診断機器ー痛み脳バイオマーカーを提示するマルチモーダル磁気共鳴画像法の臨床応用ー. 麻酔, 63:737-742. 慢性痛が成立するメカニズム 3つ 末梢神経から脊髄へと痛みが伝達される経路が増強される場合 末梢神経から脊髄・脳のいずれ…

意識のメカニズムと麻酔薬作用を解明する-機能的脳画像法によるアプローチ-

倉田二郎: 意識のメカニズムと麻酔薬作用を解明する-機能的脳画像法によるアプローチ- 麻酔,56:S89-S98,2007 感覚情報とその統合が、意識の成立に不可欠 感覚情報の受容と統合は、意識が成立するための必要条件であるといえよう 感覚情報が統合される過程をb…

痛みはなぜ慢性化するのか

倉田二郎: 痛みはなぜ慢性化するのか. ペインクリニック, 39:1483-1491,2018 痛みは苦痛を伴う幻である。健康な脳では、幻を抑え込む下行性疼痛抑制系が痛みの信号をたちどころに消し去ろうとし、痛みからの解放を喜ぶ報酬系が機能している。ところが、筆者…

慢性疼痛の病態を説明する脳内メカニズム:認知に歪みと身体意識の変容を中心に

森岡周: 慢性疼痛の病態を説明する脳内メカニズム:認知に歪みと身体意識の変容を中心に. ペインクリニック, 39:991-1000,2018. 筆者らは、変形性膝関節症術後の痛みの遷延化には、初期の疼痛強度や関節可動域制限ならびに筋力低下といった機能的な問題ではな…

慢性腰痛に新たな治療戦略-Cognitive functional therapyの紹介

三木貴弘、西上智彦: 慢性腰痛に新たな治療戦略-Cognitive functional therapyの紹介。保健医療学雑誌, 9:62-70,2018. Cognitive functional therapy 慢性腰痛を生物心理社会モデルに基づいて評価、治療を行う新しい治療体系 オーストラリアの理学療法士であ…

慢性痛に対する認知行動療法の基本的な考え方

細越寛樹:慢性痛に対する認知行動療法の基本的な考え方。Pain Rehabilitation, 8:10-17,2018. 侵害受容と痛み 苦痛、現実的な組織損傷やそこからの痛み、一般治療は苦痛の改善をめざす 苦痛と痛み行動 苦悩、そにまつわるネガティブな認知や感情とそれに影響…

痛み

和田信:痛み 臨床精神医学,44:753-757,2015 痛みを訴えているものの、身体医学的には説明がつきにくく、患者の気持ちや行動、そして周囲の人間関係や状況との関わりなどを総合的に判断すると、本人の心理状態によって疼痛感覚が大きく影響を受けているように…

文化としての精神病理学 -「データの学」との対比における「言説の学」ー

井原裕 文化としての精神病理学 -「データの学」との対比における「言説の学」ー. 臨床精神医学, 31:649-655,2002 精神医学は本来、部分でなく、人間全体を扱う学のはずである。精神科臨床は人間全体を扱う ここでいう言説とは、「一定のテーマに関する組織…

「眠れない」にどう対処するかー睡眠薬処方の前に考慮すべきこと.

北原雅樹:「眠れない」にどう対処するかー睡眠薬処方の前に考慮すべきこと. プラクティス, 35:64-65,2018 十分な休息がとれなければ心身の疲労が取れず、慢性痛が寛解するのは困難である 慢性痛と睡眠障害とには密接な関係があり、慢性痛患者お約90%が睡…

慢性痛に対する睡眠薬の使い方と心構え

平林万紀彦、北原雅樹:慢性痛に対する睡眠薬の使い方と心構え. プラクティス, 35:177-178,2018 われわれは1日のうち約1/3を寝て過ごすが、睡眠は「疲労回復」と「脳の情報処理・記憶定着」のために必要と考えられている。慢性痛患者が良質な睡眠を喪失する…

精神科治療のモデルとしてのplan-do-chick-act(PDCA)サイクル

斎間草平、井原裕 精神科治療のモデルとしてのplan-do-chick-act(PDCA)サイクル. 臨床精神医学, 44:651-654,2015. PDCAにおいて「サイクルを回す」とは、診察を連続的な営みとすることを意味する。診察を一回ごとの単発にするのではなく、医師、患者の双方が…

DSM-5にしがみつかない生き方 臨床家の輪に加わりたい大学人のために

井原裕:DSM-5にしがみつかない生き方 臨床家の輪に加わりたい大学人のために. 精神医学, 57:608-610, 2015. ヒトという生物の認知特性 典型例をまず把握し、それとの類似性の認知によって理解していく そこには操作主義者たちが想定しているような、定義的な…

Why are doctors so unhappy ?

Smith R:Why are doctors so unhappy ? BMJ. 322:1073-1074,2001. 医師と患者:えせ契約の再作成 偽の契約:患者の見解 現代医学は素晴らしいことができます。それは私の問題の多くを解決することができる あなた(医師)は私の中を見て何が悪いのか知ることが…

うつ病診療における「えせ契約」について

井原裕:うつ病診療における「えせ契約」について. 精神経雑,112:1084-1090,2010. うつ病診療の混乱は、診断学の問題にみえて、実は、医師・患者間の「えせ契約(Bogus cntract)」の問題である 医者にできることと、患者が求めることとの乖離こそが、事態の本…

なぜオピオイド鎮静薬依存症に陥るのか

松本俊彦:なぜオピオイド鎮静薬依存症に陥るのか 臨床の立場から。ペインクリニック、39:1570-1578,2018 むしろわれわれが注目すべきなのは、かくも深刻な飽きっぽさを抱えているにもかかわらず、一部の限られた人たちだけが、いつまでも倦むことなくある特…

心因性疼痛を考える:用語としての認知性疼痛の提案. 

牛田享宏、野口光一、細川豊史、田口敏彦、高橋和久、住谷昌彦、菊地臣一:心因性疼痛を考える:養護としての認知性疼痛の提案. PAIN RES, 33:183-191,2018 痛みの強さや痛みの顕示行動は、痛みの原因とは関係なく、いずれも心理社会的な精神的ストレス要因…

オピオイド依存に陥った慢性疼痛患者の対応

成瀬暢也: オピオイド依存に陥った慢性疼痛患者の対応. ペインクリニック,39:1591-1602 世の中に慢性疼痛で悩む人は少なくない。慢性疼痛の多くは通常の鎮痛剤で解決しない 処方薬依存患者の特徴 何事も薬で解決しようとする傾向 “”薬でしか解決できない””と…

オピオイド鎮静薬の投与を避けるべき患者の診

井原裕: オピオイド鎮静薬の投与を避けるべき患者の診察 ペインクリニック 39:1581-89,2018 リリカは米国の「規制物質法」のschedule Vと英国の薬物乱用法のクラスCに指定されており、乱用の危険は明白である トラムセットも同じくschedule V,クラスCに指定…

森田療法からの診立てと治療方針

平林万紀彦: 森田療法からの診立てと治療方針. 精神科治療学 32(7):919:924,2017 痛みは、知覚的、感情的、認知的に脳で統合され、それらは相互に作用し、われわれは痛みを内的に体験しする。 痛み診療では、睡眠障害が併存することが多く、その他に鎮静薬に…