2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

運動器慢性痛の病態と学際的治療

井上真輔、牛田享宏、井上雅之 運動器慢性痛の病態と学際的治療 Brain and Nerve 2012;64(11):1287-1297 運動器慢性痛とQOL QOLと抑うつに最も影響を与えた痛みの診断名は、脳卒中後の痛み、脊椎手術後の痛み、人工関節手術後の痛みであり、術後疼痛が人々の…

痛みの問診のポイント

野口和敬、生坂正臣 痛みの問診のポイント Brain and Nerve 2012;64(11):1273-1277 痛みの種類 侵害受容性疼痛 内臓痛 内臓痛は、血圧低下、頻脈、発汗、顔面蒼白、悪心・嘔吐などの自律神経症状を伴うことも多く、体性領域に関与して皮膚の知覚過敏帯を伴う…

神経障害性疼痛の中枢性機序

平野茂樹 神経障害性疼痛の中枢性機序 Brain and Nerve 2012;64(11):1267-1272 pain matrixは機能的に主に4種類に分類することができる。(1) 感覚認識:一次体性感覚野、視床、島皮質、(2) 注意:前部帯状回、前頭前野、(3) 下行性疼痛調節:中脳水道灰白質…

生理学的痛みの末梢機構

國本雅也 生理学的痛みの末梢機構 Brain and Nerve 2012;64(110:1205-1214 IASP痛みの定義の注釈 痛みはいつも主観的である。各個人は、障害の早い時期の損傷に関連した経験を通じて、この言葉をどんなふうに使うかを学習している。生物学者は、痛みを惹起す…

細井昌子 慢性疼痛 過活動のスクリーンセイバー仮説 心身医 2013;53(3):263-268

心療内科および心身医学を標榜する医師にとって、慢性疼痛治療に苦手意識を実感する理由 慢性疼痛患者は心理的葛藤が意識化されず身体症状に固執しており、「痛みさえなくなれば大丈夫なはずだ」という認識があり、心理療法の導入が困難である かなりの過活…

Magnetic resonance imaging in follow-up assessment of sciatica

Barzouhi AE, Vleggeert-Lankamp LAM, Nijeholt GJL et al Magnetic resonance imaging in follow-up assessment of sciatica New Engl J Med 2013;368(11):999-1007 We report on the radiologic findings (MRI in patients with known lumbar disk herniat…

原因がよくわからない慢性の痛みには、どう対処すればよいですか

釋文雄 原因がよくわからない慢性の痛みには、どう対処すればよいですか レジデントノート 2012;14(13):2490-2495 疼痛を持続させる「痛みへのとらわれ」 痛みが生じると痛みの「症状へのとらわれ」と「原因へのとらわれ」ができる 患者の原因へのとらわれへ…

痛みの鑑別 内臓疾患?筋骨格系疾患?

岸本暢将 痛みの鑑別 内臓疾患?筋骨格系疾患? レジデントノート 2012;14(13):2445-2449 ベイツ診察法に疼痛(pain)が5番目のバイタルサインと記載があります。 体性痛は限局した鋭い痛みで、痛い部分を尋ねるとはっきりとその部位を指せる痛みです。代表的…

細井昌子、安野広三、柴田舞欧 慢性痛の心身学的メカニズムの解明とそのアプローチ 過活動のスクリーンセイバー仮説を一助として 2 ペインクリニック 2012;33(12):1691-1701

近年、興味を持たれるようになって内受容(interoception)に関する脳内ネットワークが、pain-emotion-rewardと関連したネットワークをシェアしているという知見も加わって、失感情症が「内受容の異常」を伴うという観点で考えると、現代脳科学と疼痛行動とい…

細井昌子、安野広三、柴田舞欧 慢性痛の心身学的メカニズムの解明とそのアプローチ 過活動のスクリーンセイバー仮説を一助として 1 ペインクリニック 2012;33(12):1691-1701

いつもながら感服させられる論文です。内容が濃すぎて短くまとめられず。 不安が強い症例では、機能的痛みでもかなりの痛み苦悩が伴うこともある 機能的痛みであっても器質的異常に伴う痛みと同程度の苦しい痛みが起こることがあることを、患者の理解力に合…

本田哲三、本田玖美子、高橋理夏、中村幸男、大房幸浩 慢性痛のリハビリテーション ペインクリニック 2012;33(12):1683-1690

多相モデル 侵害刺激レベル 末梢器官障害のシグナル 疼痛感覚レベル 様々な神経障害性痛 苦悩、および疼痛行動 前頭前野・小脳皮質レベル 最近では線維筋痛症、慢性腰痛から過敏性腸症候群にいたる慢性痛全体を、脳機能異常(神経過程変調モデル)と理解し、…

慢性痛の包括的アプローチ ペインクリニック

飯田宏樹 慢性痛の包括的アプローチ ペインクリニック 2012;33(12):1653-1663 慢性痛 急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み 時間で区別 急性と慢性を分ける代表的なポイントは3ヶ月と6ヶ月 交感神経の関与する痛…

笠原諭 慢性疼痛における心理社会的要因と脳dysfunctionへのアプローチ2013;34(1):37-46

神経症は、心因と性格要因の相互作用によって生じるものと言い換えることができる。したがって、慢性疼痛患者には、心因性疼痛など「神経症」に該当するものが多く見られるが、その精神面での評価では「心因」と「性格要因(人格)」の双方を評価する必要が…

赤羽秀徳、松平浩、岸川洋一 非特異的な範疇の腰痛における運動器(脊椎)dysfunctionの解釈とアプローチ法 2013;34(1):25-35

現状の画像検査における形態学的異常の有無では痛みの原因を説明しきれない。言い換えればクリアに視覚的に捉えきれない運動器疼痛に関し、姿勢や動作との関連性が明確で一貫性があるものを運動器dysfunction(機能的な不具合)と定義することを、われわれは、…

松平浩 非特異的腰痛の新たな視点にたった解釈案 ペインクリニック 2013;34(1):15-24

腰痛の慢性・難治化に強く影響する危険因子の多くが心理社会的要因であることが明らかになり、病院の正確な把握は難しいものの、腰痛は「生物・心理・社会的疼痛症候群」であるという認識に転換した。 著者の行なった前向き疫学研究 過去一年間腰痛がなかっ…

ロコモディブシンドロームにおける慢性疼痛をどのように治療したらよ

井上雅之、池本竜則、井上真輔、新井健一、西原真理、牛田享宏 ロコモディブシンドロームにおける慢性疼痛をどのように治療したらよいのでしょうか Geriat med 2012;50(9):1065-1068 慢性疼痛は、1元来原因となっている局所所見(神経圧迫、関節変形などの…