痛み

和田信:痛み 臨床精神医学,44:753-757,2015

  • 痛みを訴えているものの、身体医学的には説明がつきにくく、患者の気持ちや行動、そして周囲の人間関係や状況との関わりなどを総合的に判断すると、本人の心理状態によって疼痛感覚が大きく影響を受けているように考えざるをえない場合がある
  • そういう時には、精神医学や心身医学、臨床心理学の専門家が、身体的痛みの背景にある患者の心理を把握し、周囲のスタッフに対してもわかりやすく対策を打ち出す必要がある
  • 「痛み」は広い意味で、精神的苦痛を指す場合もある
  • 明治以来、日本の医療は、宗教から切り離されてきたが、人の生死に関わる医療現場では、本来もっと宗教的関与があっても良いのではないかと筆者は考えている
  • 日本の医療にとって自然な形で宗教の関わりが、これから長期間かけて模索されるのだろう
  • しかし、わが国の医療現場で病気に苦しむ人の心の援助を充実させていくためには、宗教的立場とは別に、人間存在としての援助アプローチを広げることも不可欠だと思われる