慢性疼痛患者への行動活性化の診立てと方針

神人蘭、高垣耕企、吉野敦雄、岡本泰晶 慢性疼痛患者への行動活性化の診立てと方針 精神科治療学 2017;32(7):937-941

  • TRAP trigger, response, avoidance-pattern
  • TRAC trigger, response, alternative coping
  • 慢性疼痛は、身体的要因に加えて、痛みに対する否定的な解釈や考え、抑うつ、怒り、恐怖などのネガティブな感情、回避行動など、心理社会的な問題が顕在化することが多い
  • また、対人関係上も、精神的、経済的負担などによる無力感や家族からの叱責、欠勤や生産性減少などによる雇用者からの叱咤激励、医療者が抱く治療状況が変わらないことへのフラストレーションなどが、患者に影響を与えることもある。これらの要因が痛みにさらなる増悪につながる悪循環を形成していることが考えられる
  • 回避行動により短期的には不快な感情反応を回避できているものの、長期的には問題解決に向かっていないことを患者と共有することが大切である
  • その上で、痛みによって障害されている生活機能に向けた目標を再度確認し、長期的に目標に近づけるような行動を意識的に選択して実行し、その結果について評価を行うことを繰り返していく。
  • そうすることで、行動と結果の随伴性を理解するようになり、状況に応じた適切な行動を自分自身で選択できるようになることが重要である