松岡紘史 慢性疼痛に対する認知行動療法の効果と治療効果の媒介要因および調整要因 心身医 2010;50(12):1145-1150
- 認知行動療法を慢性疼痛患者に適応する際に、直接ターゲットとなるのは、痛みの症状そのものでなく、そうした症状に影響を及ぼしている行動、認知、感情、環境などの媒介要因であり、こうした変数に変化を生じさせる方法を導入し、間接的に痛みの症状を改善させることが目的となる
- 認知行動療法の効果を高める際には、どのような媒介要因をターゲットとするかを明確にし、ターゲットに適合する治療技法を選択することが重要となる
- 媒介要因(慢性腰痛)
- 媒介要因(慢性腰痛以外の慢性疼痛に対して学際的治療を行った場合)
- 生活障害や気分状態の改善を導く変数
- 破局的思考、受動的対処、痛みの捉え方、痛みに対する注意の向き方
- 媒介要因(顎関節症)
- 生活障害の改善
- セルフエフィカシーおよび痛みに対する態度
- 媒介要因に焦点を絞った治療方法
- 調整要因 慢性腰痛に対する学際的治療
- Multidiensioal Pain Inventoryを用いた分類
- adaptive coperに分類される患者では治療効果が期待できず、dysfunctionalおよびinterpersonally distressedに分類される患者では治療による効果が期待できる
- adaptive coper 痛みや苦痛感が低く、生活上の制限をそれほど受けていない
- dysfuncitional,interpersonally distressedは痛みのレベルが高く、それぞれ心理的苦痛が強く、生活上の制限がつよい、ソーシャルサポートが少ないという特徴がある
- MPI以外の調整因子
- 患者が治療に対して抱く期待感
- 慢性疼痛患者には病態の説明と認知行動療法という治療が必要となる理由をていねいに提示する必要があり、そうすることによって認知行動療法の治療効果が高まると考えられる
2010122にも読んでいた。