薬物で解決できない慢性疼痛

笠原諭、國井泰人、丹羽真一 薬物で解決できない慢性疼痛 精神科からの提言 臨整外 2017;52(1):76-79

  • 筆者の慢性疼痛外来で合併するパーソナリティ障害 強迫性(39%)、依存性(22%)、演技性(14%)
  • C群の強迫性パーソナリティや依存性パーソナリティは、わが国では時として”美徳”な正確としても捉えられてしまう場合もあり、診断が見逃されている可能性が高いと考えられる
  • これらのパーソナリティ障害のサブカテゴリーを同定できると、各群に特化した認知行動療法は定式化(スキーマ療法など)されており、治療戦略の大枠が把握できるため治療上有用である
  • 慢性疼痛患者 過去と現在に身体的虐待や性的虐待が、症状の伸展と維持に関与することが明らかにされている
  • パーソナリティ障害では全般的に、幼少期のネグレクト、身体的・性的虐待、いじめなどの精神的な外傷体験が高い確率で認められている
  • これらの精神的な外傷体験と遺伝的素因が相互作用することでパーソナリティ障害を発展させ、それらの患者が現実生活の中で不適応を来した結果、難治性の慢性疼痛が形成されると考えられる
  • 患者は痛みで困っているため「変わりたい」という気持ちと、「変わるのも大変だ」という気持ちの双方で葛藤し両価的であることが多い
  • そのため治療者が正論で「行動を変えよう!」、「運動をしよう!」と推すと、「はい、それはわかっているんです。。」「痛みさえ軽くなればできるんです。。」という抵抗反応を引き出しやすい
  • 治療者が正論で説得しようとすれあするほど、患者に反対の意見を述べさせ、ますます患者を意固地にさせてしまう。これも治療を難しくしてしまう要因である
  • 共感的に接し患者自信に語らせながら行う診察は、変わることに前向きな発言を引き出しやすい 「動機づけ面接法」
  • パーソナリティ障害の分類
    • A群 オッドタイプ:非現実的な思考にとらわれやすい  シゾイドパーソナリティ障害、失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害
    • B群 ドラマチックタイプ::劇的変動、自己アピールと周囲を巻き込む 境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害
    • C群 アンクシャスタイプ:自己主張は控えめ、不安、他社本位で美徳とも 回避性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害