慢性疼痛医療における「支える医療としてのマインドフルネスプラクティス」のすすめ

田代雅文、有村達之、細井昌子 慢性疼痛医療における「支える医療としてのマインドフルネスプラクティス」のすすめ:忙しい日常診療に悩むすべての医療スタッフに有用な心理学的方法 日本運動器疼痛学会誌 2015;7:190-195

  • 「強くて何度も知っている(と思っている)医師」と「病気で弱って今起こっている事態をあまり知らない(とされる)患者」との間には父権的な関係性が成立している
  • 真に苦しいときには”施されること”で救われる部分があるが、その時期を過ぎると依存的な関係にとどまることが難点である。それゆえ筆者らは幸せの追求には自律性が必要であると考える。なんでも代わりにやってしまうと自律を損なうので、それを”支える”という視点が大切である
  • 心身医学関連の講座ないしは診療科が開設されているのは九州大学東京大学東邦大学東北大学関西医科大学鹿児島大学東京医科歯科大学(歯学部)、日本大学近畿大学(開設順)の9つしかない
  • マインドフルネスに医療を実践している治療者は、自らの心身の状態に気付きを持って治療にあたり、患者や治療スタッフに接する姿勢が支持的・受容的になる余裕をもつことが可能となってくる
  • マインドフルネスとは「今この瞬間において、価値判断することなくありのままに受容し、それに気づいている状態」である
  • 第2世代までの認知行動療法は、「あやまった認知」を同定して、認知の修正を図ることによって行動変容をもたらしていた
  • 第3世代の認知行動療法においては、自身の認知に注意を向けて気付き(マインドフルの状態)、価値判断をせずにありのままに自身の状態を受け入れることによって、かえって変容がもたらされる点が異なっている
  • 「あなたのために出来ることは何もない」と行っていた治療者が、「私はあなたのために今ここにいますよ」というように変化したことで、患者が癒やされ治っていくことがある