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薬物で解決できない慢性疼痛

笠原諭、國井泰人、丹羽真一 薬物で解決できない慢性疼痛 臨整外 2017;52(1):76-79

  • 慢性疼痛の治療を難渋化させる最初の要因として、パーソナリティ障害の合併がある
    • パーソナリティ傷害の有病率 一般人口 9-15.7%
    • 慢性疼痛外来 40-70%
    • 筆者の外来患者 強迫性 39%、依存性 22% 演技性 4%
  • 強迫性と依存性はC型パーソナリティ(不安が強く他者を立てる傾向、配慮の行き届いた人物と周りに思われることが多い)に属する
  • これは、わが国では時として美徳な性格ともとらえられてしまう場合もあり、診断が見逃されている可能性が高い
  • 通常の認知行動療法は効果が得られにくい
  • 慢性疼痛患者にパーソナリティ障害の合併が多い 過去と現在の身体的虐待や性的虐待が、症状の進展と維持に関与するということが明らかにされている
  • パーソナリティ傷害では、全般に、幼少期のネグレクト、身体的・性的虐待、いじめなどの精神的な外傷体験が高い確率で認められている

合併する発達障害

  • 慢性疼痛患者の中には、ADHDを合併する一群があり、これらは注意伝導性の障害により痛みに過度に集中したり、また実行機能の障害からもさまざまな生活場面で不適応をきたしやすいために、慢性疼痛を合併しやすいのではないかと考えられる
  • ADHD 発達障害のなかでは、薬物療法への反応が比較的よいので、慢性疼痛診療において注目すべき重要な要因の一つであると考えている
  • 両価性
    • 患者は痛みで困っているため「変わりたい」という気持ちと、いぽうで、痛みのために受けている利得もあるため「変わるのも大変だ」という気持ちの双方で葛藤し両価的であることがおおい。
    • そのため、治療者が、「行動を変えよう!」「運動をしよう!」と推すと、「はい、それはわかっているんです。でも」「痛みさえ軽くなればできるんです」という抵抗反応を引き出してしまいやすい。このような抵抗反応を示した場合、その後に患者が行動を変えないことを予測させることがわかっている。患者は自分の”抵抗する発言”を聞き、そして変わらないことを決意してしまう
    • 治療者が正論で説得しようとすればするほど、患者に反対の意見を述べさせ、ますます患者を意固地にさせてしまう。これも治療を難しくさせる要因である
    • しかし、そのような患者の抵抗反応は、治療者の応答次第で増減することもわかっており、対決的・指示的で患者を説得させようとする診察は、抵抗を高頻度に起こすが、共感的に接し、患者自身に語らせながら行う診察は、変わることを前向きな発言を引き出しやすい
  • このような両価的な段階を乗り越え、患者本人に変わることについて考えさせ、語らせ、その発言を通して決意し実行させる技術として、動機付け面接法とう対話法がある
  • パーソナリティ障害の分類
    • A群 オッドタイプ 非現実的な思考にとらわれやすい シゾイドパーソナリティ障害、失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害
    • B群 ドラマチックタイプ 劇的変動、自己アピールと周囲を巻き込む 境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害
    • C群 アンクシャスタイプ 自己主張は控えめ、不安、他者本位で美徳とも 回避性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害