永田勝太郎 疼痛医療における医師ー患者関係 関係性の積極的診 慢性疼痛 2014;33(1):9-17
- 患者固有の問題には、その患者に特異的な身体・心理・社会・実存的問題が潜在している。特に、身体的問題として、機能的問題の評価は現代医学の器質的病態の理解に慣れている我々医師には難しいことが多い。また、心理・社会・実存的アプローチにも慣れていない
- 疼痛医療においては、まず、信頼にうらうちされた医師ー患者関係の構築が最優先される
- 慢性疼痛は、患者固有の生き様の歪がホメオスタシスを歪め、それが疼痛となる
- 慢性疼痛の多くが機能的病態である。原稿の医学教育は器質的疾患中心であり、医師は機能的病態の診断・治療の教育を受けたことがない。
- 患者に器質的疾患が見いだせないとき、器質的疾患にこじつけたり、短絡的に心因説(精神疾患:うつ病)をとることがる。時に、機能的病態を心因的病態と誤認する
- 疼痛患者の多くに、トラウマ、すなわち、虐待歴や戦争歴が潜在している。そうした隠れた事実を患者は医師になかなか話してくれない。我々の経験では6ヶ月を要するようである
- パターナリズム 家父長主義
- 強い立場にある者が、弱い立場にある物の利益になるようにと、本人の意思に反して行動に介入・干渉することをいう
- 専門家(医師)と素人(患者)の間はこうした関係になりやすい
- 特に外科系、精神科でなりやすい
- 慢性疼痛治療における医師ー患者関係
- 全体を通じて医師はprofessionalとしての矜持を保ちながらも、患者の十分な共感を示し、tuning in(こころの琴線に触れる)してかねばならない
- 第一ステップ
- 一時的でもいいから鎮痛経験させる
- 患者のいうことをよく聴き(傾聴)、手当(疼痛局所に直接手を触れる)をしなくてはならにあ
- 医師は患者に共感しても同情や迎合はしてはならない
- 初診の患者は、長い病歴や前医への恨み辛みなどを話したがる。一度はそれを全部聴かねばならない。患者のこころにあることを完全に吐き出さねば、新しい治療関係を築くことはできない。患者は、吐き出すことで、この医師は私を受け入れてくれたと理解する
- これはカタルシスでもある
- 第2ステップ
- 生き様のひずみに気づいた患者が行動変容するように援助する
- 第3ステップ
- 痛みを予防する。患者のセルフコントロール