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慢性疼痛は心の病気って本当?

笠原諭 慢性疼痛は心の病気って本当? Geriatric Medicine 2015;53(9):997-1000

  • 一般に医療機関では、器質的病変で説明の困難な痛みは心因性疼痛として扱われる事が多い。しかし、近年、純粋に身体的あるいは心理的といった二者択一的な考え方では、主観的な慢性の痛みや痛みと関連した能力障害は説明できないという認識が広がってきている
  • Turkらは、「慢性痛は学習した反応であり、そのときの侵害性入力ではなくむしろ”痛みの記憶”が経験する痛みの多くを決定する」との仮説を立て、痛みの神経メカニズムと痛みの心理学を統合した心理生物学モデルを提唱している。
  • 慢性疼痛の心理生物学的モデル
    • レスポンデント条件づけ
      • 認知的要因 ある朝、割れるような頭痛ととともに目覚めた男性 二日酔いによる症状だと考えた場合と、脳腫瘍のサインだと考えた場合を比較すれば、全く別の感情が湧いて異なった行動を取ることが予想できる。”頭痛”という侵害入力は同等であっても、その反応や質や強度は大きく異なってくる
      • 痛みに対する認知的要因の中でも特に重要なのが、破局化であると考えられている
      • 患者はこのよな自分の信念を想起させ得る経験を回避するようになり、たとえその信念が間違っていたとしても、信念に矛盾しない行動をとるようになる。
      • つまり、「この痛みに対処できない」という信念をもつ患者が、上述の条件刺激(CS)や、それによって引き起こされる条件反応である交感神経系の更新や筋緊張・痛みを感知すると、それを破局的状況と判断し不安を増大させ、その状況を回避する行動である痛み行動をとるようになるのである
    • オペラント条件づけ
      • オペラント行動はコタオが自発的におこす学習性の行動で、行動の原因は時間的に、”行動の後”にある
      • オペラント行動とは、行動してプラスの結果が得られれば、行動の頻度は増え、マイナスの結果が得られれば行動は減少する
      • 通常は痛みがあるために痛み行動をとるのだが、痛みを訴えた時には家族が優しくしてくれるという報酬や、破局化にともなって生じる「耐えられない」という不安が減ることが強化因子(疾病利得)となって痛みの訴えが増加し、本来の痛みと痛み行動との関連性が失われていく。
      • つまりこの「痛み行動」は、オペラント条件づけで形成・維持される。そして、これらの疼痛行動の程度は、患者の主観的な痛みの評価と相関することが知られている
    • 回避条件付け