複合性局所性疼痛症候群の身体イメージの変容とリハビリテーション

大住倫弘、信迫悟志、森岡周 複合性局所性疼痛症候群の身体イメージの変容とリハビリテーション Pain rehabilitation 2013;3(1):21-26

  • 身体イメージ 自己の全身について、ヒトが形成する心的な画像
  • 身体イメージが変容することがCRPSによる痛みを重篤化させていることが明らかにされている
  • Forderreuther CPRS 114例 54% 自分の手のように感じない、他人の手のように感じる、誰かが異物を縫いつけたように感じる 48% 触れられた手指を同定することが困難
  • CRPSにおける患肢の拡大された身体イメージは痛みを増悪させるということが考えられた
  • 罹患期間が長いものほど主観的に感じる手の大きさを大きく見積もってしまう
  • 拡大された身体イメージが痛みという主観的な経験に悪影響を及ぼしていることが明らかにされている
  • 拡大された身体イメージは体性感覚入力の低下が原因で生じていることが考えられている
  • CRPS患者では、痛みを避けようとすることによる患肢の不動によって身体からの体性感覚入力が減少し、一次体性感覚野の脱抑制が引き起こされる結果として、体部位再現の不明瞭化が、患肢の表像されているニューロンの総数を増大させ、「身体が大きくなった」「身体が腫れている」などの拡大した身体イメージの経験を引き起こすと考えられている
  • 拡大された身体イメージの改善のためには、一次体性感覚野の皮質内抑制の機能を改善させ、体部位再現における感覚受容野間を明瞭化させていくアプローチが必要である。このようなアプローチとして触覚識別課題が推奨されている
  • 身体をみることによる近くの向上は、一次体性感覚野の皮質内抑制を増大させる
  • 単なる触覚識別課題のみでなく、身体の視覚情報を付与しながらの触覚識別課題の方が、CRPS患者の一次体性感覚野における皮質内抑制をより機能させ、不明瞭な体部位再現の改善に対してより効果的であることが考えられる
  • 身体をみることによる鎮痛は、自己身体の認識をも含めた多種感覚の相互作用によるものであると考えられている