痛みの中枢機序

岩田幸一、篠田雅路 痛みの中枢機序 ペインクリニック 2013;34(8):1049-1058

  • 痛みの分類
    • sensory discriminative aspect of pain 侵害刺激に対する警告系として機能
    • motivational and affective aspect of pain 痛みの情動的な性質をあらわず
    • cognitive and evaluative aspect of pain 過去の経験、予測あるいは注意によって影響される
  • 侵害刺激の中枢投射経路
    • 二次ニューロンの膜上にある受容体
      • AMPA受容体 時間経過が速い侵害情報の伝達に関与
      • NMDA受容体 比較的時間経過が遅い持続的な侵害情報の伝達に関与
    • 中枢投射経路
      • 外側系
      • 内側系
  • 侵害受容ニューロンの応答特性
    • 広作動域(WDR)ニューロン SDH(脊髄後角) or Vcの表層および深層の両方に分布 鋭敏に反応 受容野は狭く、刺激に対する閾値は高い Aδ/C/Aβ線維と結合
    • 特異的(NS)侵害受容ニューロン 主に表層に分布 受容野が広い 非侵害的な圧刺激にも応答 C線維と結合
    • SIニューロンは熱刺激強度弁別あるいは場所の弁別にとって重要な働きを有することが明らかになった
    • ACCニューロンは刺激強度や場所の弁別に関与せず、痛みのエモーショナルな性質を担っている可能性があると考えられる
    • 熱刺激位に応答するACCニューロンの多くは、刺激が加えられる前からスパイク応答を示すものが多くみられたことから、刺激の予測に対して重要な働きを有する可能性があると考えられる
    • ACCニューロンは、侵害情報処理において、注意による変調をうける可能性が示された
  • 病的痛みと中枢性神経活動
    • 末梢神経系の障害によって二次ニューロンの興奮性は以上に高まるのである。このように、以上に興奮性が高まる状態は中枢感作と呼ばれ、病的な痛みの発症にとって非常に重要なメカニズムと考えられている
  • SDH内における抑制性神経回路の再編
    • 神経の興奮を抑える働きを有していた抑制性介在ニューロンが、末梢神経障害によって全く正反対の性質、すなわち興奮を引き起こす働きを担うように変化してしまい、神経障害性痛が引き起こされるのである