田代雅文 痛みだけのやりとりから、もう少し間口を拡げてみませんか?ペインクリニック 2013;34(7):1009-1014
- 背部痛から過敏性腸症候群への症候移動
- 姉妹葛藤 心理社会的背景の一つ
- 治して恨まれた症例 側腹部痛で仕事にいけない 痛みの意味 仕事へいきたくなかった
- 食道がんになりました 痛いので酒で紛らわせていたら、こんな病気になりました
- このような症例をとおして、「治る」ということの意味を考え始めた
- 心理アセスメントの進め方
- 失感情症を疑うと
- 病気が本人がどう捉えているか、痛い時にどのような対処法を採っていたのかたずねて、この病気の主観的体験の意味、認知の仕方、行動スタイルを把握
- 過剰適応が判明したら、なぜそこまで頑張るのか尋ねる
- 障害があっても負けたくない気持ち、障害者であることを受け入れられない気持ち、過程が休息の場になり得ていないという過程の問題まで明らかになった
- 腸脳相関
- 自分の気持ち・考えを伝えるアサーショントレーニングを導入
- 職場で「きついー、疲れたー」と弱音を吐く練習をホームワークとする
- 考察
- 働きすぎによって体調を壊している患者にたいする一般的な医師の指導は、「無理するな」であるが、なぜその言葉が患者に入っていかないのであろうか?
- 今回のように、「なぜそこまでがんばるのであろうか?」と疑問に思った時に背景を尋ねていくと、「それならそうするのも理解できる」になって、患者にも「わかってもらった」感がでてきて、そうなった段階で医師の言葉が入っていくのであろう
- 「小さい頃から何でも頑張ればできると思っていた。勉強が足りないと思うと勉強し、部活もしてきた。唯一どうにもならなかったのが病気なんですよ」と語ってくれたことで、彼女の人生脚本が理解できた
- 生物学的に等しいとする医学・生物学的モデルで診断がうまくいかない時に、ちょっとだけ間口を拡げて背景を尋ねてみたらいかがであろうか