慢性疼痛の認知行動療法とわが国での有用性

有村達之 慢性疼痛の認知行動療法とわが国での有用性 日本運動器疼痛学会誌  2013;5:49-524

  • 慢性疼痛の認知行動療法の2つの特徴
    • 認知や行動を変化させることで患者自身が痛み体験をコントロールできるという理論であり、患者自身による症状コントロールを強調している
    • 痛みの認知行動療法ではさまざまな対処技能訓練を行う
  • 痛み強度と否定的気分(抑うつ、不安、怒りなど)は互いに悪循環を形成している
  • 疼痛行動の強化、破局化、痛みに対する不適切な対処なども心理的不適応状態と創刊する
  • 慢性疼痛の認知行動療法
    • 慢性疼痛の認知行動療法では、心理学的要因が痛みに影響することの教育、疼痛行動の強化の撤去や不適切な疼痛対処法の中止、適切な疼痛対処の教育などを通じて、破局化の緩和、否定的感情状態の改善をはかり、症状の自己コントロールや疼痛への適応を改善させる
  • 第一世代のオペラント条件付けプログラム
  • 第二世代の認知行動療法
  • 第三世代の認知行動療法
    • 受容を治療目標とするのが特徴で、患者が自分の認知、感情、行動を受容できるように訓練する。そのために行われるのがマインドフルネストレーニン
    • マインドフルネスとは、「今の瞬間にしていること、感じていること、そこに存在していることに、価値判断をしないで意図的に注意をむける」という精神状態のことを指す
    • そのとき痛みや不安抑うつ、怒りなど不快な感覚、感情状態にあったとしても、不快感とともにいられるという精神状態である
  • 認知行動療法では患者に症状の自己コントロール法を教育するため、過剰な医学的治療を受けようとする動機付けが減少すると考えられる。また、認知行動療法集団療法の形式で提供されることも多い。一人の治療者が一度に複数の患者を対象に治療が可能で、低コストで実施できる可能性がある。この点も医療経済的に好ましい