運動器疼痛におけるニューロイメージングの進歩

運動器疼痛におけるニューロイメージングの進歩 Locomotive Pain Frontier 2013;2(1):5-12

  • 倉田 「痛みを可視化する」という言葉を最近んよく目や耳にしますが、私は非常にオーバーな表現であると思っていて、基本的に「痛みは見えない」というスタンスで望んでいます。その理由は2つあるのですが、一つは痛み刺激による脳活動の再現性が非常に低いことです。特にfMRIを利用した場合、慢性疼痛患者に同じ痛み刺激を与えても、常に同じ脳活動が得られるわけではありません。反応が乏しい例もあれば大きく反応する例もあるなど個人差が大きいです。もう一つの理由は、イメージングモダリティの技術・理論が先行し、信号変化の生物学的意義が必ずしも明確になっていないということです
  • 池本 私も倉田先生と同様に「痛みは見えない」ということを最近実感しているのですが、われわれ研究者が痛みを客観的に捉えようとすればするほど、その理論は遠ざかっていくという印象を強く持っています