慢性腰痛患者を対象としたトリガーポイント療法と圧痛点治療の比較対

廣田里子、伊藤和憲、勝見泰和 慢性腰痛患者を対象としたトリガーポイント療法と圧痛点治療の比較対照試験 全日本鍼灸学会雑誌 2006;56(1):68-75

  • 腰部と股関節の可動域測定によって罹患筋の同定を行った結果から腸腰筋、腰方形筋、中殿筋、大殿筋、脊柱起立筋、梨状筋、小殿筋、大腿二頭筋にトリガーポイントが存在した
  • トリガーポイントはその特徴かに圧痛部位を有することから、圧痛点と混同されやすいが、トリガーポントが持つ特徴を考慮にいれると圧痛点とは区別して考える必要があると思われる
  • 治療部位を設定する場合、単に圧痛がある部位に刺鍼を行うのでなく、索状硬結上に圧痛が存在し、その部位の圧迫で症状が再現するような部位を選ぶ必要があると考えられた。

伊藤里子、伊藤和憲、勝見泰和 ランダム化比較試験を用いた高齢者慢性腰痛に対するトリガーポイント鍼治療の有用性の検討 全日本鍼灸学会雑誌 2009;59(1):13-21

  • トリガーポイントは単なる圧痛点とは異なり、慢性痛のひとつである筋・筋膜性疼痛症候群に特徴的な圧痛部位であり、索状硬結上に限局して出現し、その部位を圧迫することにより症状の再現や典型的な関連痛、さらには局所単収縮反応やジャンプサインなどが出現するなど多くの特徴を持つことが知られている
  • 腰部と股関節の可動域を他動的に測定した時に疼痛が誘発される運動によってトリガーポイントが存在する筋(罹患筋)の同定を行い、その筋の中から触診にて索状硬結上に存在する圧痛部位を検索し、その部位を圧迫することで症状の再現する部位をトリガーポイントと定義した (中殿筋、腰方形筋、大殿筋、腸腰筋など)
  • QOLに関してもトリガーポイント鍼治療では圧痛点鍼治療に比べて、日常生活動作を改善するだけでなく睡眠障害などいわゆる不定愁訴に関しても改善がみられた。このことはトリガーポイント鍼治療が単なる痛みの軽減だけでなく、自律神経系などにも働きかけがみられたとも考えられる
  • 可動域測定を行い痛みの原因であると考えられる筋を同定して行うトリガーポイント鍼治療お方が、短期間で治療効果があらわれやすく、持続効果もあるものと考えられた