頭痛を訴える患者とのコミュニケーション

中安浩介、中村明澄、前野哲治 頭痛を訴える患者とのコミュニケーション レジデントノート 2009;11(5):696-702

  • somatizationとは、「身体に(器質的な)原因がないのに身体症状がでること、基質疾患があった場合でも、病理学的な変化と比べて不釣合いな激しい症状を訴えること」である
  • 症状へのとらわれ 患者が痛みを感じると生活を制限する。すると痛み以外外界からの刺激が少なくなり、症状に意識が集中してより敏感にその症状を感じるようになるため、さらに不安が増して日常生活の障害が強まる。この悪循環のなかで、患者のどんどん症状にとらわれていく。
  • 原因へのとらわれ 訴えの強さは、分かってもらいたいという気持ちの裏返し
  • somatizationを訴える患者へのアプローチの仕方
    • 良好な医師患者関係を築く ラポールという土台があってはじめて、患者は安心して自分のとらわれを見直す余裕がうまれる
    • 傾聴する 病の歴史に焦点をあてて傾聴する。初回には5分でも10分でも傾聴する時間を作ると、その後の関係性を築きやすい
    • 安易に「精神的なもの」「心理的なもの」という言葉を使わない 器質疾患はなくとも患者の症状自体は存在しているものとして扱うのが大切
    • 治そうとしない somatizationは医師が治すというよりは、時間をかけて患者自らが治っていくものである。電気製品のアースのように、患者に溜まった負のエネルギーを発散させるつもりで傾聴していくのが大切である
  • 患者へのとらわれのアプローチ
    • 完全には否定しない
    • 可能な範囲で身体保証を行い、医療の限界を説明する
    • 症状緩和について、ともに対策を考えていくことを約束する
  • 症状へのとらわれへのアプローチ
    • できることに目をむける
    • 重篤な疾患については否定するけれど、患者さんの考え方は否定しない
  • somatizationを訴える患者への対応のポイント
    • 患者の要求に揺るがない、症状の変化や新たの症状には常識の範囲内で対応、診察の時間や間隔については、相談しルールを決めておく

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