痛みの概念と増加する痛みの現状

細川豊史 痛みの概念と増加する痛みの現状 臨牀と研究 2012;89(2):143-146

  • 現在では痛みは我慢するべきものではなく、痛みを放置することは寿命さえも縮めることになるとの正しい解釈が一般的になっている
  • 痛みの定義 1981 IASP
    • 実際に何らかの組織障害が起こったとき、あるいはそのような損傷の際に表現されるような不快な感覚および情動体験
  • 痛みの分類
    • 急性疼痛ー生理学的疼痛
    • 慢性疼痛ー病理学的疼痛
    • Bonica 慢性疼痛を、急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛みと定義
  • 痛みの現況 運動器慢性疼痛が多くを占める
  • 増加する痛み
    • 2004 服部らのインターネットを使った大規模調査
      • 回答 18300名 慢性疼痛の有病率 13.4% 部位 腰 58.6% 肩 38.7% 下肢 37.9% 仕事、学業、家事を休んだことがあると答えた人は 34.5%
    • 2007 厚生労働省国民生活基礎調査
      • 腰痛、肩こり、関節痛、頭痛を症状にもつ国民が非常に多い
    • 2009 厚生労働省健康局に「慢性の痛みに関する検討会」が発足
    • 2010/9 慢性の痛み対策について提言が公表
    • 2009/1 松平らにより全国調査
      • 回答 20063名 慢性疼痛有病者 22.9% 部位 腰26.6%、肩 17.9%、膝10.7%
  • 本邦では”慢性疼痛”は増加の一途を辿っていると結論し、早急に”痛み”の的確な診断と治療が適切で計画的に、そして各科横断的に行わるようなシステム作りが必要であると考える