柴田政彦 痛みに関する適切な知識や情報の普及 日本運動器疼痛学会誌 2012;4(1):1-2

  • 痛みは主観であるために客観化、即ち痛みそのものを正確に測ることができないのは自明である
  • では科学として、あるいは医療、なし社会がこの測れない「痛み」をどのように扱ったらよいかが問題となる。そこでまず重要なのが「適切な知識や情報の普及」だと考える
  • 非がんの痛みは単に緩和すればよいという単純なものではない。投薬や手術、注射など受け身の方法だけでなく、運動療法心理療法など、痛みを有する本人自身の能動性がより重要であるからである。
  • その能動性の前提条件となるのが「適切な知識や情報の普及」である
  • 痛みに関する議論でもう一つ重要な視点が、痛みの慢性化、重症化、難治化の予防である。「侵害入力を減らすことができれば、痛みの慢性化を予防できる」という仮説は底辺魅力的ではある。しかし、多数の医療機関を経て来院される難治性疼痛の患者において、初期の痛み信号を遮断していたならこのような悲惨な状況にならなかったといったような単純な図式だけで形成されるものだとは到底想えない。職場、周囲の人、医療者、社会などに対する漠然とした不満感や不信感、怒りの感情などが痛みの慢性化に関与することが注目され始めている。