菊地臣一 東日本大震災を考える 福島県の医科系大学のトップとして 整災外科 2012;55:241-250

  • トップに求められたのは、第一に情報の共有化と窓口の一本化の徹底、第二にリーダーシップの発揮と拙速の実行、そして朝令暮改の勧め
  • 情報災害
  • リスクコミュニケーションの専門家から、「放射能も怖いが、もっと怖いのは無知、無関心と偏見」であることが伝えられた。そして、科学の力で風評被害と戦うことの大切さを提示された
  • 「支援する側(本人、家族)の安全確保が活動の前提である」「情報の共有化が組織としての決定や行動に死活的に重要である」というトップの医師を全職員に反映することができた
  • ”正しく怖がれ”
  • 安心と安全の峻別が混乱
  • 次代に伝える情報
    • 困難に遭遇した時、その困難を「悪いこと」と捉えずに、「自分を鍛える機会」と考え、克服すべき (摂理について セネカ
    • 有事には正論や筋論は邪魔になるだけで、当事者が動きやすいように周囲は支援すべきである
      • 世の中がヒステリックになると、言葉尻だけをとらえて攻撃してくる輩がいる
      • ”正義”を背に他を難ずる者の言は、いつも虚しい(狩野博幸
      • 警鈴を鳴らす奴は、いつも安全なところにいる (ドン・キホーテ セルバンテス
      • 勇気とは決して恐怖の不在ではなく、恐怖を感じつつも威厳をもって前進する能力(立証責任 スコット トゥロー)
      • 人生ではどうすることもできない困難に直面することがあります。そのようなときに泣き叫んでみてもどうしようもない、ただただ、じっと歯を食いしばり、耐えながら乗り越えていくしかない(伊藤謙介)
      • 人は人生が配ってくれたカードでやっていくもので、カードが悪いと愚痴をこぼすものではない
    • 未知の対処には、実際、勇気を必要とする
      • 科学が確実な因果関係を設定できない領域では、科学的合理性を超えた配慮が必要 )村上陽一郎
      • 安心と安全は対極に位置している。安全は科学であり、安全は心の問題であり、コストの問題でもある
  • このような修羅場では、懸命に働いている人々に、トップによる「貴方の働きを知っている、感謝している」というメッセージの発信は重要である