- 痛みの種類
- 生理的な痛み、病的な痛み
- 急性痛、慢性痛
- 皮膚の痛み(鋭く、焼けつくようで、局在がはっきりしている)、深部組織痛(内臓の痛みと同様に不快で苦痛が強く広範囲にわたり、障害の部位から離れたところにも放散しやすい)
- 痛みの中枢回路
- −最近の脳イメージングの研究により、痛みの情報は大脳皮質に達した後、S1,S2から後頭頂葉PPC,ICに投射し、ICからさらに扁桃体Amyに投射すること(serial pathway)、これと平行する形で、脊髄後角I層の特異的侵害受容(NS)ニューロンから発し、脳幹の毛様体や脚傍核、視床下部、扁桃体を経てICやACCに到達するいくつかの経路parallel ways があることがわかってきた
- 下行性疼痛調節系
- 慢性疼痛の病態
- 慢性疼痛の特徴として、1線維筋痛症、慢性腰痛、顎関節痛など筋骨格系や深部組織の痛みが多い、2全身性あるいは両側性に痛みや痛覚過敏がみられる3ストレスにより痛みが増強するということが挙げられる
- なぜ、筋骨格系の痛みは慢性化しやすいか?ひとつには痛みの性質がちがう、すなわち表在性の痛みに比べて、より不快な痛みであることによる
- 筋骨格系の慢性疼痛はより不快な痛みであるため、情動に関与する脳領域が強く興奮する。そのことが下行性疼痛調節計を介して全身性両側性の痛みの増強につながると考えられる
- 線維筋痛症の環境因子としては、外傷(特に体幹部)、感染(C型肝炎、EB virus)の他、日常生活や個人的な人間関係のストレス、発症のトリガーとなる、幼少時の虐待、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、睡眠障害、運動不足なども発症と関連があるとされている
- 慢性疼痛のなかで最も多い病態は、筋筋膜痛である。体中が痛いと訴えるため線維筋痛症と誤診されることがある。その特徴は筋肉内に帯状の凝りが触れ、押すと強い痛みを感じる発痛点(trigger point)があることである。運動療法により、低下している日常生活の動作を高めること、薬剤は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は効果がなく、三環系抗うつ薬やガバベンチンが効く。痛みで運動できないときには、trigger point blockに局所麻酔薬を注射するブロック療法が効果的である
- 急性ストレス負荷の多くは鎮痛に働くが、慢性負荷では逆に痛覚過敏になる
- 慢性疼痛では、局所の炎症を抑えるNSAIDsは効果がなく、脳をターゲットとした治療が有効である