柴田政彦 慢性疼痛の治療をとおして メンタルケア 1997;2:152-156

  • 問診
    • 痛みがおこってからの経過を詳しく聞き、痛みの性質、起こり方、頻度、どの程度生活に支障があるのか、睡眠は妨げられているか、緩和因子、増強因子、治療歴
    • 生育歴や現在の家族構成や関係
  • 手術に引き続いておこった急性膵炎の痛みがきっかけにはなっているが、若い頃より原因不明の痛みが何度がおこって病院にかかっており、自分の体質が普通の方とはかなり違うという確信が強い。普段の活動のレベルと痛み野うったえとの乖離も大きく、この患者さんの痛みの訴えは性格的なものの影響が強いであろう。痛みを訴えやすい性格の痙性には幼少期にうけた大手術や、幼少期の環境などが影響しているのかもしれない
  • 幼少期に集中治療部などの濃厚な医療行為を受けた経験のある子供はSomatization(身体化:心の問題を身体の症状として出すこと)を起こしやすいという最近の研究があります。
  • 彼女が注射を強く望んだ行動は、もちろん痛いからでしょうが、一部は自分の痛みに共感してくれない医療従事者に対する抗議の姿勢の現れであったのかもしれません。
  • アメリカのペインセンターでは、身体的な原因があってもそれが通常より長期にわたった強く訴え医療行為を求める場合には、心理社会的なものの関与が強いということを前提に、痛みの緩和は二次的なものとして扱い、日常生活での活動性の亢進を治療目標としています。
  • 現在私は、彼女の痛みがよくなった大きな理由は、彼女の痛みを全面的に医療機関が認めてくれるようになったことだとおもっています。
  • 慢性疼痛に携わる医療従事者はそれぞれに自分の行っている方法が優れている点を主張します。それぞれが相反する主張をもっていることも多いですが、患者の痛みを受け入れることの重要性は万人が認める事柄でしょう。