中井吉英、阿部哲也 慢性疼痛の心療内科的治療 医学のあゆみ 2002;203:81-85

  • 急性の痛み biomedical model,原因−結果といった線形モデルによる診断が可能
  • 慢性の痛み bio-psycho-social-behavioral model
  • 慢性疼痛患者の心理的要因は、痛みのために引き起こされた二次的要素が強いと考えられる
  • 今後は慢性疼痛に陥らせないような予防的見地により、慢性疼痛患者を予測できないかといった研究が必要となろう
  • 慢性疼痛になると3つのシステム(心理システム、環境システム、生理システム)がたがいに連鎖しあいながら慢性疼痛としての病態を形成することになる。システム論的な視点では原因―結果という直線的・因果論的な見方をせず、さまざまなシステム相互間の影響を含めた悪循環の連鎖として把握する
  • 慢性疼痛患者に対する心理療法
    • 一般心理療法 受容acceptance,支持support,保証reassuranceの3つを原則
    • セルフコントロール
    • 行動療法
      • オペラント学習
      • オペラント技法
    • バイオフィードバック法
      • 痛みを治すのは薬や注射しかないという“他者コントロール的認知”から、患者自身による痛みが軽減されるといった“自己コントロール的認知”に変化していくことがバイオフィードバックのエッセンスである
    • システムズアプローチ
  • オペラント技法による慢性疼痛の治療プログラム
    • 痛みに随伴的にせずに、時間に随伴的に薬剤を与える
    • 非疼痛行動に社会的強化を与え、治療にとって無益な疼痛行動を無視する(消去)
    • 歩行の増加に対して社会的強化を与える
    • 作業療法を一生懸命に行うことに対する報酬として、あらかじめ予定をたてて休息の時間を与える