ペインクリニック

塩谷正広 ペインクリニック 心療内科 2002;6:442-446

  • 痛みはあくまでも主観的経験であるゆえに、人格(抑うつ、転換性性格)や情動変化、家庭環境、社会的環境により痛みの表現は変化し、左右される
  • 手術を繰り返す患者(MOB)には傾向が見られる。すなわち痛みへのこだわりが強く、腰痛のために仕事に就けない、もしくは痛みのために家庭内の役割をはたしていない、などの疾病利得がある。治療では症状は改善するが一時的であり、医療への依存から抜けにくい
  • しばしば慢性痛患者ではうつ傾向と転換性障害傾向がみられる
  • 慢性痛では下行性抑制系が痛みのコントロールに大きな役割をはたしていると思われる。下行性抑制系にはオピオイド系、セロトニン系、ノルアドレナリン系が知られている。抗うつ薬が慢性痛に奏功するのはこの下行性抑制系を賦活化するのではないかと思われている。