心因痛の精神力動について

長沼六一 心因痛の精神力動について 臨床精神医学 1973;2:95-102

  • Freud
  • 最初の労作 ヒステリー研究
    • 痛みに関する積極的見解
    • 不快な感情は抑圧過程を通して身体的な痛みに転換される
    • 痛みはしばしば象徴的意味をもつ
    • 多くの遺伝的影響をうける
    • 常に器質的な基盤があり、その後に痛みとなって生ずるような精神的結合が生じる
  • 後期 「悲哀とメランコリー」「制止、症状、不安」
    • 「悲哀とメランコリー」 痛みと悲哀を“分離への感情反応”と述べ、それを“対象を失う恐れへの反応”とみなした不安と区別している
    • 「制止、症状、不安」 精神痛においては、対象への充当が障害されているが、身体痛では病んでいる部位への自己愛的充当があり、それが障害されているのだと説明している
  • Szasz 痛みの象徴としての役割
    • 第一段階 痛みは身体の傷つくことから反射的に逃避するための信号
    • 第二段階 それは他者の助けを求める伝達の手段
    • 第三段階 この伝達としての色合いが益々つよめられ、さらに複雑となってくる。ここでの痛みは対人関係の中で本人の欲求を満たす補強物となったり、葛藤状況での調整役を務めたりして、完全なひとつのあやつり道具として用いられるようになる
    • painful person
    • そういった痛みをもち、それに苦しむことで同一性を確立している。であれば、これらの人々は、そのような痛みがしょうしつすることは決して望んでいない訳であり、診断不能の痛みを創り出すことに生きがいを見出しているわけである。
    • 社会的に受け入れられ、そのなかで同一性を得るためににはその痛みが心因性のもに、すなわし、「気のせいで起こった痛み」であってはいけない。