山田雄士、西原真理、新井健一、牛田享宏 学際的アプローチの実際 調剤と情報 2011;17:157-160

  • 運動器の慢性痛患者の治療にあたり、目指すところは“痛みの除去はもちろんだが、除去できない場合には痛みをある程度受け入れた上で、QOL(quality of life)を維持した生活を送ることができる状態にもっていくこと”と考えられる
  • いずれの場合も、ほとんどの患者は前治療機関で器質的問題しか指摘されておらず、精神医学的・心理的問題が痛みに影響しているとの認識はもっていない。まず器質的疾患をしっかり除外した上で、そのような問題を受け入れられるように時間をかけて説明することが、その後の治療プロセスを円滑に進めていくために最も重要であると考えている。
  • 一般的に心理学的要因が痛み症状に大きく関与している患者の特徴は、二次的に障害部位の周囲に生じる筋緊張が非常に強く、それ自体が痛みの発生にかかわっていることである。
  • 運動器の痛みの診療は、しっかりと患者の話を聞き、触れ、痛みや訴えをできる限り理解しようとし続けることが治療の原則である。そのためには、一定の時間を患者との問診に割くことが重要であるが、現在の医療制度では、入院・外来を問わず処置をおこなわないと診療報酬につながらないという大きな問題が背景にある