名医に学ぶ 腰痛診療のコツ 2006 永井書店

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  • p26 腰痛を主訴とした患者さんの受診目的は3群に大別できます。まず「診断」が目的。つぎに「治療」が目的。最後のグループは「孤独の癒し」を目的として受診。
  • p31 医療従事者が患者さんとの円滑な信頼関係を確立するためのknow-howがいくつかあります。最大のポイントは、医療従事者は、患者さんに「私はあなたに関心をもっている。わたしはあなたを共感をもって受け入れている」ということを明確な態度や言葉を通じて伝えることです。
  • p32 患者さんにいかに安心感を与えるか
  • p34 患者さんに最も勇気を与えるのは、患者さんに対する医療従事者の示す共感です。
  • p83 このような矛盾や痛みの表現は、患者さんが医師に助けを求め、その指示をとりつけようとしていると考えるとよいのです。
  • p83 医療行為という逃げ場を閉ざさないでおくのも治療効果を上げるうえでは時に必要です。
  • p107 最近、「椎間板が腰痛の主たる原因である」という認識に疑問が投げかけられています。
  • p119 高齢者は、孤独を癒しに外来へ来ている可能性があります。
  • p131 高齢者の治療にあたっては、cureとともにcareの視点の導入が求められています。careという視点から言えば、患者さんの話に耳を傾けることも治療の一つという考えを持つことも必要です。特に高齢者が独居している場合には、医療提供者との語らいが日常生活上、唯一の会話の相手かもしれないのです。患者さんの話を聞き、腰痛が日常生活上、おおきな支障にならないように指導して、2週間に一度とか3週間に一度という定期的な診察が続いても、患者さんのライフサイクルが順調にまわっていれば、それはそれでよしとする発想も必要ではないでしょうか?
  • p143 慢性腰痛は単独の「腰の病気」と捉えるべきではないということです。慢性腰痛は「不健康」という全体像の一部という捉え方が必要です。
  • p143 慢性腰痛の特殊性 一つは持続する痛みに対して苦悩や不安を抱えていること。もう一つは、周囲の自分の腰痛に対する無理解への絶望や怒りの感情です。
  • p144 だれもでできる運動としては歩行(ウォーキング)がよいと私は思っています。
  • p146 椎間板ヘルニアの場合には、時間の経過と共によくなることが普通です。事実、私が手術を勧めた椎間板ヘルニアの患者さんが手術を拒否して退院したその後を追跡してみたところ、全員がよくなっていました。
  • 後記 腰痛をここまで勉強し、円滑な診療の遂行に気を配っても、なおトラブルは発生し、信頼関係を結べない患者さんはいるのです。