三叉神経領域の痛み

岩田幸一 三叉神経領域の痛み Bio Clinica 2008;23:404-410

  • 神経の損傷や炎症によって口腔顔面領域に引き起こされる異常疼痛には、末梢神経系の感作に引き続いて起こる中枢神経系の感作が重要な働きをなすと考えられる。また、老齢ラットに関する研究から、老化にともなって下行性経路の活性が著しく低下し、痛みの上行路における活性化が増す。おそらく、侵害情報の上行路と下行路の興奮性のアンバランスが原因となって高齢者の痛覚異常が誘導されると考えられる
  • 痛み 弁別的様相、情動的様相
  • 三叉神経系では、顔面皮膚、口腔粘膜、歯髄あるいは舌など、体幹には存在しない複数の器官が存在するため、多くの点で体幹・四肢とは異なる痛みの性質を持っている
  • 歯髄刺激 痛み、pre-pain感覚 歯がしみるー象牙細胞管内に存在する組織液が刺激によって移動し、物理的に歯髄神経を刺激することによって誘発される
  • 歯髄にはC線維も含まれ、炎症がおこるとしみるという感覚とは異なった性質の痛みが発症する
  • 三叉神経脊髄路核 吻側亜核、中間亜核、尾側亜核(Vc)
  • Vcの表層 NS neuron,WDR neuron, 深層 WDR neuron
  • 外側系 侵害情報の弁別 内側系 痛みの不快や痛みによってひきおこされる様々な自律神経系応答を伴う情動的様相を担う
  • 口腔顔面領域の慢性痛 顎関節部の慢性痛、咬筋や側頭筋に発症する筋筋膜痛、神経因性疼痛
  • 顎関節に炎症が発症するとVcニューロンの中枢性感作が誘導され、Vc侵害受容ニューロンの強い興奮性の亢進が起こるものと想像される
  • 三叉神経痛 神経因性疼痛の代表選手、三叉神経根が上小中脳動脈あるいは前下小脳動脈によって圧迫されることによって生じる
  • 三叉神経が損傷をうけると、主にAδやAβなどの有髄神経線維の活動性が増し、VcやC1-2ニューロン活動が亢進し、中枢神経系の感作が誘導され、異常疼痛が発症する。
  • 老齢ラットにおいては脊髄下行路の機能不全がおこっている可能性を示している