T2強調MR画像と遅発性筋痛との関連性について

柳沢修、新津守 T2強調MR画像と遅発性筋痛との関連性について 日本臨床スポーツ医学会雑誌 2004;12(1):27-32

  • MRI/T2強調画像と遅発性筋痛との関連性を検討
  • 対象 男性5名 伸張性収縮を含む足関節の底屈運動 1.5T MRIで安静時、運動後24,48,96,168時間で下腿三頭筋のT2WI横断像で、腓腹筋内側部のT2緩和時間を算定。同部の筋痛を問診。
  • 結果 筋痛は運動後 24-96時間後にあり。T2値3名のみ48時間意向で上昇値を示す傾向。本研究の結果は浮腫が必ずしも遅発性筋痛における決定的な要因に成り得ないことを示唆する。

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  • 考察
  • 伸張性筋収縮を含む運動は、筋内水分量の遅発的な上昇を引き起こしやすく、これはMRIのT2強調像における信号強度の増加およびT2値の上昇として反映されることが実証されている
  • 伸張性の筋運動後には、クレアチニンキナーゼなどの筋酵素が細胞外で遅発的に上昇しやすく、その結果間質の浸透圧上昇によって浮腫が生じやすくなると考えられている。
  • これらの所見は、筋腱移行部および筋膜周辺部が伸張性筋収縮によって損傷を受けやすいことを示していると考えられる
  • 筋腱移行部は、痛みに関するレセプターが比較的発達した領域であることも、同部位における顕著な痛みの存在に関連していると考えられる
  • 被験者A,Dのように遅発性筋痛を訴えたにもかかわらず、一貫してT2値の上昇を示さなかった症例も存在した。
  • 筋痛の程度は必ずしも筋損傷の程度を反映していないと共に、遅発性筋痛が筋よりも腱などの結合組織の損傷と深く関わっていることが推察される。