大脳基底核ドパミンシステムと痛み

川上順子、木内有希 大脳基底核ドパミンシステムと痛み Brain Medical 2009;21(3):235-240

  • パーキンソン病患者 熱による痛みの閾値が有意に低下、ドパミンシステムの障害に下行性疼痛抑制回路への影響が示唆
  • 大脳基底核と痛み反応
    • 黒質 刺激の部位でなく刺激強度をコードしていると思われる
    • 線条体
  • PET 大脳基底核ドパミンシステムが痛みに関与
  • ドパミン受容体 5つのサブタイプ 痛みにかんれんするのはD2
  • ヒト大脳基底核ドパミン受容体の結合能は、動物基礎実験と異なり、痛みの強さとは相関せず、痛みの自覚的判断と関連がある
  • ヒト脳画像解析でも、基底核のD2受容体活性は、痛みの感覚と情動的側面の両方に相関を持つことが示唆されている
  • ヒト、動物基礎研究のどちらも、大脳基底核のD2受容体活性が痛みに関連があり、基底核ドパミンシステムの痛みへの修飾は、下行性鎮痛経路を介した痛み感覚への影響と、中枢における痛みの情動的側面への影響との2つの経路が存在すると考えられている
  • 大脳基底核においては、ドパミンオピオイドの受容体の共局在と相互作用が存在し、これらの受容体の種々の組み合わせにより運動が動機付け行動を修飾しており、痛みの認知にも関与する可能性が示唆される
  • 帯状回におけるドパミンの痛みへの作用は、痛みの反応そのものへの影響ではなく、情動的側面における反応を修飾するものであることを示唆している