- 胸は心拍など自律神経活動の変化を感じ取る「体」の代表で、「脳と体が統合した核心的な自分の本当の姿」を「心」と呼んでいるのかもしれない
- 心療内科は「心身一如」という言葉もあり、「生育環境による個々の条件付けによって形成された脳における神経回路の混線の結果としての体の異常」と考えられる「心身症」の治療を行う場であり、心療内科は「こころのICU」という呼び方もできる
- 精神神経科も心療内科も「脳と心」を扱う心療科であるが、どちらかと言えば精神神経科は「脳」に重きを置いた治療、心療内科は「心と体」に重きを置いた治療を行う場であるともいえる
- ヒトの精神機能を分析してみると、世の中でよく使われている言葉である「知 情 意」という言葉にわけて考えることができる
- Antonio Demasio
- 生存する脳 心と脳と身体の神秘 Decartes' error : Emotion, reason, and the Human Brain 1994
- 肉体から分離した心というデカルトの心身二分論思想を誤りと明記
- 池見酉次郎初代九州大学心療内科教授が、デカルトの心身二分論を誤りとし、東洋的な身心調和の重要性を熱く語っておられたことを思い返すことになった
- 感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ Looking for Spinoza : Joy,Sorrow, and the Feeling Brain
- 「感情と身体とは不可分である」および「身体は情動のための劇場である」と印象的な表現を用いて、身体各所に表れる現象が感情や情動に深いつながりがあることを神経科学者の立場から提唱している
- 痛み体験は不快な感覚体験のみでなく、自律神経機能への入力もあり、生理学的にも同時に不快な情動体験でもある
- 心を生み出す身体と脳の関係
- somatic marker hypothsis
- 過去にヒトがオプシンXを選択して悪い結果Yが得られ、そのために不快な身体症状が引き起こされたとすると、この経験的な結びつきは前頭前野に記憶されているので、後日、ヒトはオプションXに再度身をさらすととか、結果Yについて考えると、不快な<直感 gut feeling>を経験し、その感情である<ソマティッックな状態(somatic state)というイメージをマークするsomatic markerが、過去経験した深いに身体状態を自動的に再現する
- 痛み刺激を誘発するオプションXを自ら選択すると、脳内に痛みの識別に関する感覚情報と痛みの不快感の感情情報が同時に伝えられるが、この不快な痛み体験Yが前頭前野に記憶され、痛み刺激を感じさせるオプションXに身をさらす場合や、痛み体験の増悪というYについて予測することにより、不快な直感を経験し、過去の不快な身体状態である痛み体験とそれに伴う自律神経系などの身体の現象が自動的に「身体」に再現される。このパターンを頻回に繰り返すと、脳内における神経回路を形成するニューロン活動が持続的に活性化することで、通常と異なる各個体の人生経験に基づく痛覚の情報伝達経路が形成されていく。この環境と各個体との相互作用の結果として不快の痛み体験というsomatic stateが、心因性疼痛の理論的機序と言い換えることもできるのではないだろうか
- 痛みの心身医学的治療は、痛みを訴える患者と医療スタッフの交流の中で、この「本来の自分の心」を追い求めていくことであると考えられる
- social pain