慢性疼痛の集学的治療

北原雅樹 慢性疼痛の集学的治療 ー日本の現状を分析して 慢性疼痛 2003;22(1):39-42

  • MPT (multidisciplinary pain treatment)は治療モデルのパラダイムシフトの上に成立している
  • 従来の板に治療の考え方 生物医学モデル
    • 痛みには生物医学的原因がかならずあり、その原因を物理的治療法で除去すれば痛みは寛解し、痛みの寛解は患者の機能障害の減少に直結する
    • 医療者と患者とは、受動的患者に医療者が治療を施すという垂直関係
  • MPTが基礎としている生物心理社会モデル
    • 生物的因子、心理的因子が痛みには同等に重要であり、物理的治療法による痛みの寛解は患者の機能障害の減少に直接関係しない
    • 医療者は能動的患者からの要望に応じて指導教育を行うという垂直的関係をとる
  • MPTはuniversity of washington pain center UWPMC の創立者であるDr Bonicaが1946年頃最初に始めた
  • MPTの発展段階
    • 0段階 痛み治療の必要性に気づく
    • 1 自分の専門分野の鎮痛法(神経ブロック等)を用いてある程度の成果をあげる一方で、単一の治療法の限界に直面
    • 2 従来方式による各科へのコンサルト
    • 3 集学的治療
  • MPTのコスト
    • 全米平均で一人8100$
    • UWPMC 15000-20000$

栗山陽子、北原雅樹、小島圭子、津田佳代子、宮内佳代子、大村昭人 慢性および亜急性疼痛の3症例ー環境経済要因の際立った例 日本ペインクリニック学会誌 2007;14(2):123-127

  • 国際疼痛学会が定義しているように、痛みには感覚と情動の両面があり、とくに慢性疼痛を考える上では情動を除外することはできない。
  • 心理社会アプローチとは、患者の心理状態および、患者を取り巻く社会環境を、心理社会的リスクとして評価し、心理社会的リスクのモデルを立て、介入する方法である。その結果社会環境を変化させることも手段の一つとしてあげられる。これは日本では精神、心理の専門家でなければできないと思われており敬遠される傾向がつよかった。しかし、現在では医療面接の基本として、レジデント向けの参考書にも記載され、学生実習でも指導されている。
  • 心理社会的アプローチとは、患者の身体症状だけでなく、患者をとりまく社会環境と心理状態を把握(心理社会的リスクの評価)し、状況を改善すべく働きかけていくこと(説明、説得、心理および社会環境の改善)を指す