疼痛ー筋スパスムー疼痛サイクルに関する実験的アプローチ

朝野裕一、熱田裕司、向井康詞 疼痛ー筋スパスムー疼痛サイクルに関する実験的アプローチ ーin vitro標本を用いて 北海道理学療法 1991;8:29-32

  • 痛みが筋緊張を、筋緊張が痛みを引き起こして、いわゆる疼痛ー筋スパスムー疼痛サイクルといわれる悪循環を形成するとされる。しかし、このような現象を客観的に評価することは困難である。
  • 我々は、動物実験モデルを持ちいてこのサイクルの解析を試みた
  • ラットの中部胸髄以下の脊髄と両側後肢のみが残る標本を人工脳脊髄液内へ
  • 疼痛刺激は内因性発痛物質とされるbradykinin
  • 脊髄と後肢を区分
  • 後肢のchamberにbradykininを注入して筋活動を筋電図で測定
  • 脊髄部のchamberにbradykininを注入し、後肢の筋活動を測定
  • 結果
  • 足部または尾部をピンセットでつねると後肢の屈曲運動に伴う筋活動あり ー 逃避反射
  • 後肢のchamberにbradykininをいれると数十秒後から持続的な筋活動が観察された
  • 脊髄のchamberにbradykininをいれても後肢の筋活動なし
  • その後に後肢chamberにbradykininをいれると、後肢の持続的筋活動が出現
  • 後肢の皮膚を切除した後にbradykininを後肢chamberにいれても、後肢の筋活動は増大しない
  • 考察
  • bradykinin濃度での活動は皮膚受容器を介している可能性を示唆