- 持続的に痛みが入力されるとこのように屈筋の筋緊張亢進と伸筋の抑制が起こり、いわゆる筋性防御による不動化を生む
- 筋収縮の持続によってエネルギーの需要に対する血流量が不足し、嫌気性代謝が起こる。嫌気性代謝で産生された酸から局所のアシドーシスが生じ、内因性発痛物質が組織内に遊離されることでポリモーダル受容器の感受性は増大する(末梢感作) そして筋の収縮や伸張などの機械的刺激にたいして新たな痛みを招き、さらに屈筋反射を亢進させるという悪循環がおこる
- 痛み刺激は体性ー交感神経反射として交感神経活動を亢進させ、末梢血管を収縮させることで循環障害を引き起こすという別の悪循環を起こす
- 痛みが上記に続くことは屈筋反射の亢進や不動化などによるいm帯の悪循環を形成し、病態を複雑勝つ慢性化させる。
- 中脳中心灰白質(PAG)を中心とした下行性疼痛抑制系
- 慢性痛の患者の報告では、反射的な運動および姿勢制御のような機能的な異常がみられる。
- Ramachandran
- 幻肢痛は「遂行しようと考えている運動」と「目で見たその結果」との不整合によって生じると仮説をたてた
- mirror therapy 患者は鏡に写った健側肢の運動をみて、まるで患側肢も運動しているように錯覚させられる
- 感覚入力から運動出力までの一連のパターンの破綻がある種の慢性痛症を生み出している可能性さえ考えられる
- 負の可塑的変容である慢性痛症に対して、運動野イメージやプログラミングを含めた正常な運動経験を積み重ねること(正の可塑的変化)が慢性痛症に対する治療で特に重要になる可能性がある
- 痛みは末梢の筋から高次中枢にいたる様々なレベルで運動系の異常を引き起こす。運動系の異常が積み重なり悪循環に陥ることで、末梢だけの問題であった痛みが中枢の可塑的変容を含んだ慢性痛症に移行することもある。このような複雑な痛みの病態像を考えれば、まずは末梢の痛みから取り除き、さらに中枢を含めた理学療法のアプローチを画策する必要がある。末梢から中枢に至る筋の役割と影響力を見直し、高次中枢における痛み系と運動系とのつながりを意識し、運動系への刺激を存分に利用した痛みに対する理学療法の確立が今後も切望される。