松原貴子 新たな痛みの概念 痛み治療の転換点 理学療法兵庫 2005;11:14-17

  • 痛み系は警告信号ー防御系として原器、生命を維持するために必要不可欠な機能と言える。したがって痛み機能が正常に機能している時の痛みは、必要善であるといえる。逆に、痛み系に異常を呈した結果生じる痛みは、もはや警告信号としての役割を果たさないものであり、不要の産物である。いまや、後者の痛みが、医療界のみならず、社会的にもおおきな問題となってきており、新しい痛みの概念が生む出されるきっかけとなった
  • 痛みは単に一知覚情報ではなく、心理精神機能にも作用する多様な情報として体験されるものである。
  • 傷が治ったあとにも確かに存在する痛みの概念 慢性
  • 強い痛みが持続すると、痛覚系の神経回路に混線などの歪み、すなわち可塑的な変容が生じる。その結果、接触や温度のような非侵害性の体性感覚刺激のみならず、精神自律神経系などに加わる様々な刺激にも過敏に反応するようになり、それらの情報を痛みとして感じてしまう。これが慢性痛のメカニズム
  • 慢性痛症に対する決定的な治療法がない現在、リハリビテーション、特に理学療法のうう構成が世界的に注目を集めている。
  • 脳(情動や記憶、認知の制御)を含めた神経障害の治療を目指すため、生物心理、社会的ちりょうとして最近は認知行動療法に焦点があてられ、患者が行う治療に移行している
  • 運動することで痛みを減らし、筋緊張をコントロールしてパフォーマンスを改善、向上させることができるとの報告は多い
  • 歪んだ痛み、慢性痛症をつくりださないためには、痛みを合併症としてとらえるのでなく、一疾患として痛み専門の治療を行うことが重要である。