松原貴子 慢性痛のリハビリテーション MB Med Reha 2007;79:21-29

  • 本邦 慢性痛にたいしても急性痛と同じように、痛みを合併症の一つとして組織損傷が存在するかのように追及し、通り一遍にこの対症的な治療がとりおこなわれてきた
  • 慢性痛は神経系の可塑的変化によって生じることが示唆されている。したがっていまや疼痛部位の組織構造や機能だけをみていても慢性痛に対応できないことはあきらか
  • ペインマネジメントのポイントは1急性痛と慢性痛の鑑別2認知行動療法の導入3筋運動を取りいれた理学療法の併用
  • 慢性痛は中枢神経系の可塑的変化によるものといわれることから、薬物療法(ペインキラー、オピオイトなど)や神経ブロッックにほとんど反応しない
  • 痛みを完全に取り去ることを目的にとせず、痛みの改善はわずかであったとしても生活できるように認知スキルの向上と行動の改革を行う。そして、痛みに埋もれた生活から抜け出し、個人個人の生活や人生の本の一部分に痛みが存在する、そういう生き方を再構築することで、多くの慢性痛患者が救済されている
  • 患者の考え方を痛みに執着する人生から痛みがあったとしても個人が実現可能な人生に転換させる
  • 臨床心理士は、心理療法認知行動療法)に基づき、痛みに対するマネジメントやコーピングスキルの向上に努める
  • リハプログラムの目標は、患者が痛みや鎮痛に注目執着しなくなることと、ADLやQOLを改善向上すること
  • 痛み軽減はわずかであるにもかかわらず、効率で薬剤不要、能力障害改善、うつ改善、復職が可能となり、その成果は3-4年後にも維持されていた
  • 患者が自ら運動をおこなうことこそ、ADLやQOLを改善するのみならず痛み自体にも家強を与えうるアプローチ