慢性疼痛の理解と医療連携 3

p280 山口佳子、熊澤孝朗 慢性疼痛治療における連携医療の現状

  • 慢性痛の定義 1994 IASP
    • 時間経過に基づいた慢性痛の定義は不適当である
    • 原則として、痛みに特効する療法に基づいた治療、あるいは非麻薬性鎮痛薬のような痛みのコントロールの決まりきった方法に反応しないしつこく続く痛み
  • 1999 Loeser
    • 急性痛と慢性痛の区別は、痛みの期間ではなく、より重要なことは、身体が生理的機能を正常な恒常性のレベルへ回復させられるか、させられないかである
  • 痛みが長く続けば慢性痛であるとの認識を改めるのは難しいと判断し、慢性痛とよばれているものの中にも急性痛が含まれていることを強調し、さらに、神経系の可塑的異常からおこる痛みを慢性痛症と呼称することにした。
  • 慢性的に痛みがあれば、誰しも気分が落ち込み、活動が減少する。このようなことが二次的、三次的にいたみを増強させるといわれている
  • 最も問題であることは、医師と理学療法士などコメディカルが一体となって一人の患者を評価していく体制ができていないことである
  • 放置された急性痛が心理的な要因を引き起こし、情動系と痛み系が混線した慢性痛症に至っているケースも多い
  • なぜ日本で学際的な体制で痛みを診れないのか
    • 大きな原因に、医学部およびコメディカル教育に痛みの教育が含まれていない
    • 痛覚受容器の興奮によらない痛み(慢性痛症)があるという事実が明らかになった現在では、痛みはすべての診療科に関係することであり、現場の医療者は欧米諸国のように再教育されるべき
    • 縦割り性の弊害