慢性疼痛の理解と医療連携  2

p256 永田勝太郎 慢性疼痛の心理療法

  • 慢性疼痛は機能的身体疾患に属する。これはもともと健常な心身に、患者固有の生き様(生活習慣)が絡んで、生体のホメオスタシスに歪みが生じて発症してくる疾患といえる。
  • 器質的病態の身体的病因検索を中心としたpathogenesis的現代医学は、こうした機能的病態に対してほとんど無力である
  • 医療面接 疼痛は生活の歪みが生体に反映したものである。生活とは患者固有の身体、心理、社会、実存的状況の包括である
  • 基本的に、医師の持つ価値観は、病気の原因を追及し、病因を除去して治療しようとするpathogenesisが中心である
  • サルトジェネシス 健康中心主義
    • コヒアランンス感(sense of coherence, 生きることへの前向きな姿勢)に重きを置く
    • SOCは理解能力、管理能力、意味深さの3要素から孔子絵される
  • 慢性疼痛患者への心理的アプローチ バリント方式
    • 患者の話をよく聴くこと、傾聴が大切
  • 慢性疼痛患者の心理
    • 否定、怒り、取引、諦めによる受容
    • 日本人には甘えという人間関係(相互依存性)のなかで、子供に還えるような(退行)が多い
  • おわりに
    • 治療にあたっては、まず治療者は患者の疼痛局所に手を当て、十分に患者の疼痛に共感しなくてはならない(手当て)。その時診療の場で、治療者が患者のこころにどのようにチューニングインするか(患者の心の琴線にふれるか)が、その後治療効果全体に影響をおよぼす。Balintはこの事実を「医師という薬物の薬理効果」といった