p14 仙波恵美子 慢性痛における中枢の変化

  • 慢性痛に移行するメカニズム
    • 1)持続する痛み 2)痛みの中枢経路が活性化 3)長期増強などの可塑的変化により痛みを感じ易い状態になり 4) 痛みの原因となった損傷や炎症が治癒しても大脳皮質など上位脳からの下行性投射により痛みが維持される
  • 痛みの3つの側面
    • 1)感覚ー識別的側面 2)感情ー情動的側面 3) 認知ー評価的側面
  • 脊髄から脳への痛みの伝達経路
    • 外側系 視床外側部を経て一次体性感覚野S1,S2に至る 痛みの識別
    • 内側系 視床内側核群を経て前帯状回(ACC:anterior cingulate cortex)、島皮質(insula cortex) 痛みの情動認知的側面に関与
  • 帯状回 ACC
    • 情動に関与する領域 25野,33野,24野の吻側部
    • 認知に関する領域24野,32野の尾側部、帯状回の運動野、痛覚野
    • Schaffer 猿で帯状回を損傷すると痛み刺激からの逃避が起こらない
    • ヒトでACCに局所麻酔薬を注入すると鎮痛効果があらわれ、外科的切除により慢性の堪え難い痛みは消失。痛みは感じるが苦痛でなくなる
  • 下行性疼痛抑制系
    • 痛覚伝達系の最終ターゲットである大脳皮質が、皮質下に投射してPAG-RVM系を介して積極的に疼痛を制御している
    • 痛みに注意を集中すると普通は痛みの感じ方が強まり、注意をほかに向けると痛みの感じ方は弱まる