長野正範, 林康子, 周豊慧 リハビリテーション 治療 2008;90(7):2125-2129
- IASP国際疼痛学会の疼痛pain
- 不快な感覚性情動性の体験(unpleasant sensation and emotiona experience)であり、実質的ないし潜在的な組織障害を伴うものと(actual or potential tissue damage)、そのような損傷があるように表現される(described in terms of such damage)ものとがある
- 疼痛 脊髄では逃避反射 不安うつなどの感情の変化(疼痛を回避する感情的反応)
- 慢性疼痛にあたっては、生物医学的、心理学的、社会的な観点から注意深く対応する必要がある
- 治療
- 完全に痛みが消失することを目指すのでなく、痛みをなんとかコントロールして痛みは多少あっても機能的な回復が達成できることが目標となる
後明郁男 がん疼痛 発痛メカニズムを見抜いて治療方針をたてる 治療 2008;90(7):2161-2164
- WHO方式がん疼痛治療
- 侵害受容性疼痛を主たる発痛メカニズムとするがん疼痛のゴールドスタンダード
- 侵害受容性疼痛以外の痛みには普通の鎮痛薬は無効
- 痛みの性質がどのような言葉で表現されているかを聞き取ることがとりわけ重要
- 侵害受容性疼痛の表現 子供のころから馴染んでいるような、刺されるような、切られるような、じんじんするような
- 神経因性疼痛の表現 生まれて初めて経験するような、ヒリヒリピリピリしてやけどを連想させるような、ビリビリ電気が走るような、タバコを押し付けられるような、天ぷら鍋に片手をつっこんだような
- 交感神経依存性疼痛 絞られるような、押しつぶされるような、筋肉をわしづかみにされるような
- 痛みを増強する因子、これまでなされた治療で効いたもの効かなかったものを聞き出す
- allodynia 神経因性疼痛に特有
- がん発痛の初期には、侵害受容性疼痛が主たる発痛メカニズムであることが大多数であり、プライマリケアでは、侵害受容性疼痛をしっかり把握して適切に治療することが求められる
- 侵害受容性疼痛 痛みの性質はわれわれが子供の頃より日頃痛みとして慣れ親しんでいるもの
- がんの痛みは、当初は侵害受容性疼痛を主体をなすことが多く、これに対してゴールドスタンダートといってよい方法がWHO方式がん疼痛治療法である
- がん疼痛の基盤にはいつも侵害受容性疼痛がある
- モルヒネ増量でも鎮痛傾向が非常に弱い場合はオピオイドに反応しにくいタイプ(とりわけ神経因性疼痛)が絡み込んできたことをただちに想定すべきであり、モルヒネなどのオピオイドを漫然と増量することは厳に慎むべき
- がん終末期に現れるさまざまな心身の苦痛のなかで、もっとも対処し易いのは痛みであることを銘記すべきである。