乾幸二、柿木隆介 痛みの脳内機構 脳神経 2006;58(1):5-15

  • nociceptive system
    • nociceptive receptor - Aδ,C fiber
    • 脊髄後角 2種類 特異的侵害受容細胞(nociceptive receptor) I層, 広作動域細胞(wide dynamic range, WDR) V層
    • 脊髄視床路 spinothalamic tract, STT I層 外側STT, V層 腹側STT
    • 視床 I層-VMpo (posterior part of the ventral medial nucleus) MVvx(ventral caudal portion of the medial dorsal nucleus), V層-VP(ventral posterior nucleus)
    • 2つの異なる経路の主な始点であるNS細胞とWDR細胞はことなる情報を上位中枢へ伝えているのであり、独立した、あるいは少なくとも一部独立した機能的に異なる2つ以上の侵害情報処理経路が存在することが明らか
  • 皮質
    • 近年の機能的脳画像研究は侵害刺激により、SI,SII,島、帯状回など複数の大脳皮質領域が活性化されることをあきらかにしている
    • SIの侵害受容細胞は侵害情報の判別的側面に関与していると考えられる
    • 侵害受容に伴うヒトSIの活動は明瞭なsomatotopyを占めし、その活動強度は痛みの程度と相関し、SIの障害は侵害刺激の部位や強度の認知を疎外する。
    • 侵害情報処理では3b野活動が欠如している
    • SIIは判別的側面よりもむしろ刺激の認知や学習などの高次機能に関わっていると推定されるが、証拠はまだ乏しい
    • 島をinteroceptive cortexとする考え方
    • 島を障害された患者がasymbolia for pain (刺激は認知するがそれに伴う情動変化や行動が欠如する)に加えて、生体にとって脅威となるような視覚、聴覚刺激にも反応しなくなることは、刺激によって生じる主観的な情動体験やそれに伴う行動が疎外していることを示し、島をinteroceptive contexとする考えを支持するように思われる