柿木隆介、山崎浩、秋 云海、乾幸二、Tuan Diep Tran、王 暁宏、Thi Binh Nguyen、渡辺昌子 痛覚認知機構 ーとくに注意効果についてー 臨床麻酔 2003;27(4):663-671
- 痛覚
- Aδ線維 小径有髄 鋭い痛み first pain, sharp pain 10-15 m/s
- C線維 無髄 鈍い痛み second pain, burning pain 1-3 m/s
- Aδ線維による誘発脳波、脳磁図に対する注意効果
- チクッとした刺激 コントロール、計算時、記憶時で比較
- 注意課題では1M成分は変化がなく、それに続く脳波成分(N240-p340)は有意に振幅が低下
- 1M成分は刺激信号が大脳皮質に到達直後の初期反応で認知成分は含まれず、その後にみられる脳波成分は2次反応で認知成分を含むものと解釈される
- C線維による誘発脳波、脳磁図に対する注意効果
- その他条件下における痛覚認知の変化
- gate control theory 大径有髄線維を上行する刺激信号は脊髄レベルにおいて小径線維を上行する刺激信号を抑制する。すなわち同時に与えられた深部感覚あるいは触覚刺激は温痛覚刺激を弱める
- diffuse noxious inhibitory control (DNIC) by Bars
- 身体のいずれかの部分に侵害性刺激(痛覚あるいは温度覚刺激)が与えられている場合には、他の部位にあたえられた侵害性刺激に対する感覚が低下する
- DNIC効果はfirst painよりもsecond painに対して著明
- 痛覚認知に関連するAδ線維刺激の場合もC線維刺激の場合も同様に、注意効果や催眠効果が非常に大きいことが客観的に示唆された。このような著明な効果は他の体性感覚刺激(触覚や振動覚)による脳反応ではみられないため、痛覚認知の特殊性は明らかである。逆に言えば、心理的な手法による除痛効果の意義を明確にするものであり、痛みに治療には全人的な試みが必要であることを示唆している。