菊地臣一 腰痛概念の革命 心身医 2003;42(2):106-110

  • EBMからみた腰痛治療の問題点
    • 従来行われてきた腰痛の治療法のほとんどが科学的根拠の裏付けに乏しい
    • 腰痛の増悪や遷延化には、以前に考えられていた以上に心理的、そして社会的要因が早期から深く関与している
    • 医療提供者と患者の信頼関係などを含む人間関係が、治療効果や患者の満足度に大きく影響している
  • 新しい腰痛病態の認識
    • 腰痛を脊椎の障害という捉え方から、生物心理社会的疼痛症候群という概念でとらえる
    • 問題点 スクリーニング手段の欠如、多面的集学的アプローチに経済的報酬がない
  • 医療従事者の役割は予後を変える努力をするのではなく、患者の疾患に対する闘う意欲や適応力の向上に力を貸すこと
  • 慢性腰痛に対して
    • 患者の抱えている2つの問題、すなわち、持続する痛みによる苦悩と周囲の無理解に対する絶望や怒りに対しての医療提供側の適切な対応が求められる
  • 新しい概念に基づく腰痛治療
    • 安静の排除
    • 患者と医師の信頼関係の確立 placebo効果の再認識、心理社会面の評価
    • 従来の受け身の治療から、患者自身が治療方針の決定や治療自体に参加する攻めの治療といったあらたな治療体系の確立が今求められる