都丸哲也、本田哲三 慢性疼痛患者に対するリハビリテーション 関節外科2001;20(4):110-118

  • 疼痛には情動的あるいは社会的な、いわば苦痛sufferingともいえる側面があり、慢性疼痛ではこの比重が大きくなる
  • 疼痛の2つ受容器
    • 閾値機械受容器
      • 生体組織を損傷する可能性を有する侵害刺激にのみ反応
    • polymodal受容器
      • 機械的刺激以外に熱や化学刺激にも反応する受容器
  • 機械的侵害刺激 Aδ線維と、C線維 化学的あるいは熱刺激はC線維を通して脊髄後角に入る
  • 痛みの4つの側面
    • 侵害受容器への刺激 nociceptioin
    • それが中枢に伝わることで生じるpain
    • 情動的社会心理側面のつよい苦痛suffering
    • それによって惹起される疼痛行動 pain behavior
  • 認知行動療法
    • 患者の痛みを取り除くのではなく、むしろ患者の痛みに対する偏った認知を是正しつつ生活の活性化を目指す
    • 徐々に痛みを人生の一部として受入れ、痛みとともに生き、痛みがあっても充実した人生を楽しむ

いわゆる心因性疼痛の病態 鈴木志麻子、宮岡等 関節外科2001;20(4):128-132

  • 国際疼痛学会の疼痛の定義
    • 組織の実質的ないし潜在的な障害と関連した、あるいはこのような障害と関連して述べられる不快な感覚的、情動的体験
  • すなわち痛みには身体因のみならず、患者の感情や認知、社会的要因が影響しているため、心身両面から幅広く理解され対応される必要がある
  • 痛みを除去する目的でなされた身体への治療が、かえって痛みを増悪させることも珍しくない。そして患者は痛みさえとれればすべてが解決すると痛み以外の問題にはかえって目を向けられなくなり、社会生活への復帰にたいしてさらに消極的になることもある
  • 患者に本当に必要なことは、このような社会不適応の状態を脱し、痛みを緩和しつつ痛みとのつきあい方を学び、再び社会活動の中に復帰させることである。