吉村恵、古江秀昌 脊髄後角ニューロンの可塑性と慢性疼痛 脊椎脊髄 2006;19(9):-912-920
- 脊髄の後角 I-VI層
- 末梢からの入力
- 触覚などの非侵害性の感覚情報は、太い有髄のAβ線維によってIII層以下の深層に終末
- rat 体毛からの感覚はAδ線維によって運ばれ、II層から深層にかけて終末
- 痛みは細い有髄線維のAデルタ線維、無髄のC線維によって、I,II層に運ばれる
- I,II層が痛覚の伝達に重要な役割あり、特にII層の膠様質はほとんどすべての細胞が痛みに刺激に応答すること、痛みを伝える線維の入力を多く受けること、下行性の抑制系の入力が多いこと、また細胞数が多く、かつ後角では広い領域を占めることから、痛みの修飾や統合に重要な役割を果たしている
- wind-up現象
- 1965 Mendell
- 末梢のC線維を低頻度で刺激を行うと、深層の細胞の応答が次第に増大して、頻回発火を示す、刺激をやめても発火が持続する
- 繰り返す刺激により痛みの強さが次第に増大する現象
- sprouting
- 本来III層以下の深層に終末しているAβ線維が軸索発芽を起こし、II層の膠様質に侵入してくる
- 抗BDNF抗体で痛覚過敏が抑制される
- 記憶に重要な役割を果たしている海馬で、シナプス伝達が長期に渡って増強または抑制される現象
- 長期増強 long term potentiation; LTP 長期抑圧 long term depression LTD
- 下行性痛覚抑制系の可塑的変化
- サブスタンスP受容体の内在化
- 抑制性ニューロンの機能変化
- Clトランスポータの変化
- 痛覚過敏に関与するmicrogliaの活性化
- microgliaとBDNF
前島貞裕、片山溶一 脊髄病変に起因する難治性疼痛 脊椎脊髄 2006;19(9):921-928
- nociceptive pain 侵害受容性疼痛
- neuropathic pain 神経因性疼痛
- deafferentation pain 求心路遮断痛、知覚遮断性疼痛
- central deafferentation pain 中枢性求心路遮断痛
- peripheral deafferentation pain 末梢性求心路遮断痛
- psychogenic pain 心因性疼痛
- 脊髄神経根に圧迫が加わると根性疼痛が生じると考えられているが、これは特別な場合を除きあてはまらない
- 脱髄線維を含む脊髄神経根への機械的刺激は根性痛を生じるが、正常な脊髄神経根への圧迫は痛みを生じない
- 外科医が通常臨床の場で遭遇する脊髄神経根に起因する痛みは、おおよその圧迫の原因が外傷であれ、ヘルニアであれ、腫瘍であれ、neuropathic painに分類されると考えたほうがよい
- deafferentiation pain
- 脊髄後索刺激 spinal dorsal column stimulation DCS
- 触圧覚、深部知覚など痛み以外の体性感覚は、脊髄後索内側毛様体系の太い神経線維(Aα、Aβ fiber)で、極めて素早く伝わる
- 痛みの感覚は、脊髄視床路の系の細い線維(Aδ、C fiber)によって、伝達される
- 伝導速度の速い痛み以外の体性感覚は、伝導速度の遅い痛み感覚を中枢神経内のいろいろなレベルで抑制している
- 痛みのある領域をなでたり、さすったりすると痛みが軽減する
角田静明、屋田修、新井一 脊髄由来の神経障害性疼痛に対する薬物療法の最前線 脊椎脊髄 2006;19(9):934-939
- NNT number needed to treat 一人に患者で有効性を確認するのに最低何人の患者に薬剤を投与しなくてはならないか?少ないほど有効性が高い
- 三環系抗うつ薬 NNT 2.3
- gabapentin, pregabalin NNT 4.3
- by Finnerup NB et al Pain 2005;118:289-305